こんにちは。らら子です。
NHK朝ドラ『らんまん』で万太郎の幼なじみ広瀬佑一郎(ひろせゆういちろう)君。
万太郎の人生の節目に登場。ドラマ終盤でも、工科大学教授になって万太郎を訪ねてきました。
万太郎とは藩校の名教館(めいこうかん)での同級生でしたが、名教館が小学校に変わるタイミングで、東京のおじさんの書生になるために上京しました。
その後は苦学しつつエリート街道をひた走りました。モデルとなった人物は誰でしょう?
西洋料理店で待っていたのは、名教館時代の学友・広瀬佑一郎。
人が自然とともに生きる助けをしたいと、東京で鉄道を通す仕事をしていました。
蘭光先生が言っていた金色の道を、ちゃんと歩んでいます。そして万太郎の下宿先を紹介してくれましたが…。#朝ドラらんまん#中村蒼 #岩田琉生 pic.twitter.com/31Her6JUs5
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) May 7, 2023
目次
らんまん:ゆういちろう君モデルは誰?広瀬佑一郎
広瀬佑一郎(ひろせゆういちろう)君のモデルは、「港湾工学の父」と呼ばれたシビルエンジニアで土木工学者の広井勇(ひろいいさみ)と言われています。
旧漢字では廣井勇です。
広井勇は高知県佐川町出身で、文久2年(1862年10月24日)生まれ。
ドラマの佑一郎君と同じく、明治維新で没落した武士の子で、9歳で父が亡くなり家督を継ぎました。
10歳の時に、明治天皇の侍従を務める叔父の片岡利和(旧名:片岡源馬)男爵を頼って上京。片岡家の書生となります。
書生というのは、他人の家に寄宿してその家の仕事を手伝いながら勉強させてもらう制度です。
広井勇は書生として玄関番を命じられ、仕事をこなしつつ私塾で英語、数学、漢学を学びます。
ワタクシらら子の明治生まれの祖父も、東京で勉強したいと書生になったそうです。今と違って、家にこまごまとした仕事が多かったので、書生はいい制度だったのでしょうね。
さて、ドラマの広瀬佑一郎君は、名教館(めいこうかん)では武家の子グループのリーダー的存在。
幼いころから苦労しているだけに、感情を表に表さない思慮深い少年として描かれています。
町人でボンボン育ちの万太郎のことは苦々しく思っていましたが、やがて一目置く存在に。
ワタクシが印象深く覚えているシーンは、名教館の学頭、池田蘭光先生(モデルは伊藤蘭林)に連れられて仁淀川(によどがわ)に遊びに行った夜です。
釣った魚を焼いて一口食べると、佑一郎君はそのおいしさにはっと目をみはって、うれしそうに無言で食べすすみます。
一方、万太郎といえば、食べるなり
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ゆういちろうくん!うまいのう!
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と、全開ではしゃぎます。この万太郎との対比、上手い演出ですよね。
佑一郎君は、万太郎を「あけすけ」な性格だといい、その天真爛漫(てんしんらんまん)さをうらやましいと思っているようです。
その一方で、その無防備な性格ゆえに、この先に何かトラブルが起きるのではと忠告もしています。
『#キンセイラン』という珍しい植物を発見しました。
希少な植物に出会えた喜びを感じる万太郎。
「先生の言うたとおりじゃ。
文字では心は震えんかったに――」「心が震える先に金色の道がある」#朝ドラらんまん#寺脇康文 #小林優仁 #岩田琉生 pic.twitter.com/T7YgnfkXIF
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) April 13, 2023
らんまん:ゆういちろう君モデルは何をした?広瀬佑一郎
さて、史実の広井勇は上京して猛勉強。東京外国語学校の英語科に最年少12歳で入学、さらに転学して名門の工部大学校予科(現在の東大工学部の前身の1つ)に通います。
またも最年少の15歳で札幌農学校(現・北海道大学)の2期生として入校を許されます。
土木工学を学んでいたのに農学校?と思いますが、そこには彼なりの理由がありました。
札幌農学校なら官費生(かんぴせい)として、学費が無料で給料も支給され、さらに5年間の雇用が保証されたのです。
これで片岡家から経済的に自立することができます。
ドラマでも、札幌農学校へ進学した佑一郎君。学費の話はしっかり者の佑一郎君らしいエピソードでとして登場していました。
札幌農学校は「少年よ大志を抱け」で有名なクラーク博士を迎えたばかり。
キリスト教の教えも根づいていました。
同期生には日本のキリスト教思想家の内村鑑三(うちむらかんぞう)、5千円札の肖像にもなった新渡戸稲造(にとべいなぞう)など、そうそうたるメンバーがいました。
広井勇も熱心なクリスチャンとなりましたが、貧しい人々を救うには信仰よりも工学で世の中を変えていくことを決意します。
卒業後は働いて資金を貯め、1883年(明治16年)12月に、農学校時代の恩師のツテで私費でアメリカへ渡ります。
ドラマでは万太郎を訪ねてきた佑一郎が、ミシシッピ川の治水工事をすると告げると、万太郎は「仁淀川(によどがわ)からミシシッピ川に行くがか!」と励ましていました。
らんまん:ゆういちろう君モデルはアメリカで活躍!広瀬佑一郎
広井勇は、アメリカで鉄道建設工事や橋りょう建築工事の仕事をします。昼間は工員として工事の仕事をし、夜や週末は勉強するという日々を送ります。
やがて広井勇は、橋りょう技術者として大成し、英語で『PLATE-GIRDER CONSTRUCTION(プレート ガーダー コンストラクション)』という本を書きあげます。
この本の初版は,廣井勇が滞米中にプレートガーダー橋の設計参考書として書かれたもので,豊富な実例が多い。
また,現場の実務者が使いやすいようにポケットサイズである点も特徴的である。出典:室蘭工業大学図書館
これは「プレートガーダー橋」という建築工法の1つについての解説書です。
27歳の時にニューヨークにある専門書の出版社から刊行されました。
1883年(明治16年)12月に21歳でアメリカへ渡って、27歳で本を出版するってすごいですね。
使いやすいポケットサイズというのも評判がよく、アメリカでも長らく大学の教科書として使用されていたといいます。
何度も増刷されて1914年には第5刷が出ました。
この本は、今も復刻されていてAmazonなどで買うことができます。
Plate-Girder Construction (Classic Reprint) https://t.co/aQQaNvNdKZ #denver #bestseller #savealot pic.twitter.com/F4UsuwfRYn
— Rare Deal Finder (@raredealfinder) April 4, 2018
らんまん:ゆういちろう君モデルは小樽みなとと防波堤の技術者!広瀬佑一郎
その後、広井勇は、母校の札幌農学校から教授になってくれるように頼まれます。
帰国前にドイツに留学してさらに高度な土木技術を学び、1889年(明治22年)に帰国。
2023年8月15日放送の『らんまん』では、アメリカから帰国した佑一郎君が再登場したタイミングですね。通りがかった若い女性からきゃあきゃあ言われていました♡
佑一郎君は、アメリカで見聞きしたすごさと人種差別について万太郎に語ります。人が人を差別するのは嫌だと言い、植物を差別しない万太郎のままでいてほしいと告げます。
別れ際に二人しっかりハグして、佑一郎君は札幌へ向かいます。
史実の広井勇も札幌農学校工学科の教授として、教育者としての人生を歩み始めます。その後は帝国大学の教授にもなりました。
橋、ダム、水道、都市計画などの分野で数多くの人材を育て、その広い人脈は「広井山脈」とも言われています。
一方で、北海道庁に土木技術を高さを必要とされ、小樽築港事務所初代所長になります。
明治30年(1897年)から小樽築港第1期工事(北防波堤建設)が始まり、約10年かけて明治41年(1908)年に完成。
「港湾工学の父」廣井勇により建設された北防波堤は、セイロン(現スリランカ)のコロンボ港防波堤を参考にし、独特の傾斜ブロック工法を採用した日本初の外洋防波堤。ケーソン工法を取り入れた島防波堤とともに、今も現役で機能している。
出典:NPO法人北海道遺産協議会.
日本初めてのコンクリート製の長大外洋防波堤です。日本土木学会でも「日本土木史の驚異」と言われています。
100年経った今も「小樽みなとと防波堤」として現役です。素晴らしいですね。
『らんまん』では万太郎との再会の中で取り上げられました。
万太郎も「ゆういちろうくんはすごいのう」と喜んでいました。
#小樽港北防波堤 です。小樽港湾事務所初代所長の #廣井勇 の設計により建設工事が開始され、11年の歳月を経て明治41年に完成しました。建設当時の最先端技術である斜塊構造が採用され、歴史的価値があることから、平成13年には「小樽みなとと防波堤」として #北海道遺産 に指定されています。 pic.twitter.com/jOO7LDujZC
— 国土交通省 北海道開発局 小樽開発建設部 (@mlit_hkd_ot) May 31, 2023
らんまん:ゆういちろう君役の俳優・子役は誰?広瀬佑一郎
『らんまん』で大人になった広瀬佑一郎を演じるのは、中村蒼(なかむらあおい)さん。
1991年〈平成3年〉3月4日 生まれで、中学3年生(14歳)の2005年11月に第18回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストのグランプリ受賞して芸能界デビュー。
2009年に亜細亜大学経済学部に一芸入試で合格。仕事と学問を両立させて、卒業しています。
なんとなく史実の広井勇さんと重なりますね。
少年時代の広瀬佑一郎を演じたのは、岩田琉生(いわたりゅう)さん。スターダストプロモーション所属の子役です。
2010年5月2日生まれで『らんまん』登場時は12歳。
ワタクシ初めて番組で見たときは、お顔もすっかりできあがっていて、演技も上手でびっくりしました。
眼ヂカラが強いところが印象的。そのまま成長して中村蒼さんになったのは、とても納得します。
岩田琉生さん自身も、役の広瀬佑一郎君との共通点を「家族想いなところと、勉強、運動ができるところは自分と似ている」と、なかなかの優等生ぶり。
「佑一郎は10歳で家督を継いでいるという文章を読んで、ここが重要なキーなのかなと思って、ビシッとしたキャラクターとして演じました。そして勉強や運動が出来て、家族想いで責任感が強い子。家族想いなところと、勉強、運動ができるところは自分と似ていると思います」
出典:オリコンDeview-デビュー
岩田琉生さんは、朝ドラ『あまちゃん』で前髪クネ男で大ブレイクした勝地涼(かつぢりょう)さんにも似ていますね。
この先、どんなイケメンになるのか、どんな演技を見せてくれるのか楽しみです。