感想:宝塚星組ロミオとジュリエット大劇場千秋楽(役替わりA)ロミジュリ千秋楽ライビュ

こんにちは。らら子です。

宝塚歌劇団星組『ロミオとジュリエット』動画配信で宝塚大劇場役替わりAを見ました。とりいそぎ感想をば。今回は役替わりもどちらも魅力的ですが、Bはどうしても時間が合わず断念。Bは東京に期待です。

とりあえずAを見ての感想ですが、今までの宝塚ロミジュリとは一線を画している完成度と魅力にあふれています。





礼真琴(まこっちゃん)満を持して主演!

なんといっても礼真琴(以下まこっちゃん)さん。2013年の新人公演でロミオ役、その前に研究科2年で「愛」を踊り、3度目のロミジュリでは2021年トップスターとして主演。

これだけでもキュンキュンするのに相手役はピッタリの舞空瞳(以下なこっちゃん)ちゃん。キュンキュンキュンですよ、もう。

さて、こっちゃんロミオ。

歌もセリフもうまいのは織り込み済みですが、歴代のロミオの中ではダントツに天然ぽい。まこっちゃんロミオ。いままのロミオってみんなちょっといい子ぶってるというか、すでにトップスターの貫禄をもって少年ぽく演じてた感があるのですが、まこっちゃんロミオはやや無防備な感じがたまらなくいい。

ロレンス神父様(英真なおき)に子ども扱いされるのもよーく分かります。

その純粋な気持ちのまま、恋に恋して、死を恐れ、恋に落ち、平和を望む。どれも本当の気持ち。

「誰が誰を好きになってもいい」「愛し合う心は誰もが変わらない」「誰もが自由に生きる権利がある」と歌うロミオ。なんだかすとんと入ってきました。

こっちゃんが歌う歌詞もよく伝わるんですよねー。不思議なトップスターさん。





少女コミックぽいジュリエット

一方、なこっちゃんジュリエット。これまた天然。そそとした乙女でありながら、感情の起爆がすごい。嘆き悲しむジュリエットとかは歴代ジュリエットもお得意ですが、お嬢様の枠を出ない。

もともと宝塚もロミオとジュリエットも少女マンガの世界なんだけど、なこっちゃんのジュリエットはおめめきらきらの少女マンガというよりは、少女コミックを思わせます。

なこっちゃんのすごいのはそのにやけっぷりとティーンエイジャーっぷり。ロミオとのことを思い出し、ベランダで1人にやけるジュリエットの顔芸とか、乳母に呼ばれて「今行くってば!」と怒鳴り返す(笑)まんま、女子高生ですか。

ティボルト殺された翌朝、ロレンス神父さまのところに懺悔に行くといった時のあのしれっとした表情。今回映像だからよけいよくわかったのかもと思いますが、なこっちゃんの細かい表情に目が離せませんでしたー。

なこっちゃんといえばダンス!ですがジュリエットはダンスあんまりないシーと思っていたらフィナーレのデュエットダンスが超高速でした。トップ二人の身体能力の高さに今さらながらビックリ。





過去最高に人間味のあるティボルト(愛月 ひかる)

愛月ひかる(あいちゃん)ホント星組に来てくれてよかったー。

色気もあり男気もある分厚いティボルト。ティボルトの葛藤と心情がすごーく伝わってきます。ガタイもいいし、すごく魅力的。

ジュリエットに対する不器用な愛情も伝わってくるし、切ないですねー。

ふてぶてしさの中に垣間見える寂しさや焦りがいいですよー。キャピュレット夫人のことを鼻にも抱えてない冷たさもまた、ジュリエットへの想いとの対比が出ていていいですよ。





美しいマーキューシオ(極美 慎)

あーこのマーキューシオ好きだわ。

のびやかで美しいし、おちゃらけてなくて色っぽい。眼福。美しさと少年ならではの薄情さももち、仮面舞踏会でキャピュレット家の女性をひっかけてさんざんその気にさせて捨てる、この子ならやりかねないと思わせます。

一方でコンプレックスの塊で内面は複雑。

犬といわれて本気でおどけるでなし、「バカなことばかりしゃべる」といわれるほどバカな感じもしない。

マーキューシオの真骨頂は、モンタギューの家を呪いながら死んでいくところですが、ここは泣けますねー。





健全なベンヴォーリオ(瀬央 ゆりあ)

瀬央 ゆりあ(せおっち)のべンヴォーリオは、初めはマーキューシオと共に子犬のようにじゃれあっている少年。

ロミオとジュリエットの結婚を知って、初めは仲間を裏切ったと子どもっぽく怒っているべンヴォーリオ。

このベンさんは突然覚醒する時があります。それが決闘の歌のシーン。ロミオの「決闘」の歌を聞いているうちにどんどんと顔つきが変わってくるところが見ものです。

そしてロミオとマーキューシオがヴェローナを去ることになっり、ひとり残されるベンさん。

リーダとしての覚悟で血気にはやる仲間たちを宥め、ジュリエットの死を伝えるために旅立つ決心を固めます。

「どうやって伝えよう」と歌うベンさんに悲壮感はあまりなく、大人の自覚をもって輝いてすらいます。





現役感ばりばりのキャピュレット卿(天寿 光希)

パリス伯爵をやっていた天寿 光希(ミッキー)さんが、キャピュレット卿をねぇ♪と個人的には感無量でした。

もともとわたくし隠れミッキーファン。あーこういうキャピュレット見たかったすごくいいキャピュレットです。

芝居巧者のミッキーさんなのでパリス伯爵も期待された通りの役作りをしていましたが、パリス伯爵、教科書通りのマーキューシオときて、いよいよキャピュレットですよ。

大人の骨太さと苦みを感じさせ、なおかつ現役感ばりばりの若々しいパパ。

ここだけの話ですが歌が上手いのもいいですよねー。初めてメロディがちゃんと分かったかも。





間抜けな気取りやじゃないパリス伯爵(綺城 ひか理)

綺城 ひか理(あかちゃん)のパリス伯爵はまっすぐ育った青年。

自分が拒絶されるなんてことは考えてもいないところがすごくいいですよね。白いお衣装がよくお似合い。

間抜けとも見えない。気取りやなのも悪気はない、借金を肩代わりするのもそれがいいと思ってるから(というかだれかにそう吹き込まれてるから)。そう育っちゃったからそうなんですって感じです。

私だったらパリス伯爵でいいじゃんと思わせてしまう、あかちゃんのパリス伯爵でしたー。

ジュリエットをとつぜん失って、どんなにか心が傷つくかしらなんて思ってしまったりして。





可憐さが隠し切れない肝っ玉乳母(有沙 瞳)

娘役スターがやる乳母は白華れみちゃん以来?2013年の乳母は男役美城れんさん、2011年の雪組も男役沙央くらまさん。月組は専科美穂圭子さん。もう乳母はそういう存在なのかと思っていたら、またも娘役スター。

れみちゃんの時もそうだったけど、有沙 瞳ちゃん(以下くらっち)の可憐さ隠しきれない。

でもちゃんと乳母に見える。慈愛に満ちた母性を感じるし、ロミオの返事をもらってからの帰りソロの歌は圧巻です。

くらっちはトップ娘役にはならないのかなぁ。

ひらめちゃんの例もあるし、いつか大人っぽいトップ娘役になってほしい。それか専科で息の長いジェンヌ人生を歩んでもいいと思うけど。

音波みのりちゃんももっと活躍してほしいなぁ。




愛(碧海 さりお)と死(天華 えま)

碧海 さりおくんは、ちょっとお顔が長めなので「愛」はどうかなと思っていたのですが、杞憂でした。

可憐でやわらかさも強さもあって、心があたたまるような「愛」。見ているだけで幸せにつつまれるようでしたよ。

そして天華 えまちゃんの「死」。衝撃的。

えまちゃんお顔もきれいなですが、不気味さとか不幸と無縁の感じ。色っぽくて楽しそうな「死」です。うふふ♪あはは♪と聞こえてきそう。

エリザのトートよりよほど人の死をもてあそんでいそう。本当に大好物なのね。

お二人ともダンスの見応えがあって、とてもいいコンビネーションだと思いました。



大胆な役替わり ピーターとヴェローナ大公

コロナ禍による人数減で日程を分けざるを得ない本公演。ティボルト、マーキューシオの役替わりはともかく、ピーターとヴェローナ大公というキャラ違いの役替わりは新鮮な驚き。

だってヴェローナの街を統べる大公とジュリエットの乳母に「役立たず!」っていわれちゃうピーターですよ。面白過ぎます。

輝咲 玲央【A】くんはもともと大人の男っぽいので、ヴェローナ大公は違和感ない。ちょっとお歌が半拍ずれるのねと思いましたが、愛に満ちた大公っぷり大変けっこうでした。

それに対し、遥斗 勇帆【A】くんのピーターも可愛くて良し。

果たしてBパターンはどうなるのか。とても楽しみにしております。



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