こんにちは。らら子です。
風間柚乃さん主演の月組バウホール公演月組公演アドベンチャーロマン『BLUFF(ブラフ)』-復讐のシナリオ-(作・演出/正塚 晴彦)見てまいりました。
初演は1990年に月組の久世星佳(くぜせいか)さん主演で、大評判をよびました。
目次
感想:宝塚月組ブラフ:これは「いいマサツカ」役者もそろった!
BLUFF(ブラフ)とはハッタリとか手の内とかいう意味。
奇想天外なストーリーとハッピーエンドの痛快コメディです。
正塚(マサツカ)先生は独特の芝居の世界観を持っていて、セリフの間やスタイリッシュな衣装にもこだわりがある座付きの演出家。
この作品もザ・マサツカ要素がてんこ盛りです。
作品のできは「いいマサツカ」のときとそうじゃないときがあります。
そうじゃないときというのは、だいたい舞台上が暗く、人が余ってるのかやたら通行人がいて、複雑な群舞が繰り広げられる。
そして、なぜか流れ弾に当たる人、若手スターが演じるボーっとした若者などがでてきます。
つねづねワタクシは、マサツカ先生は小劇場公演ぐらいの人数が扱いやすいんじゃないかと思っているのですが、BLUFFはまさに条件ピッタリ。
東京芸術劇場プレイハウスもバウホールも客席数800人強。
ダンスシーンもわらわら感が出ませんし、照明もそうそう暗くできない。
専科からは1992年のBLUFFに出演していたダンス巧者の高翔みず希さんもご出演。これはもう面白くないはずがない。
期待しかないでしょう。
感想:宝塚月組ブラフ:風間柚乃ドノヴァンはハマり役!
主役は天才詐欺師ドノヴァン。詐欺師が主役と聞いてワタクシ風間柚乃さんピッタリ!と思いました。
代々月組トップスターの中でも演技力ばっちりで地味だった(ほめている)、久世星佳さんが主演した役ときいて、ますます確信しました。
ふだんから人を食ったところのある、とぼけた味がt魅力の風間柚乃さん。そして言わずと知れた演技力と緻密な役作り。
間合いが命ともいえる、マサツカ芝居にはもってこいですよね。
風間柚乃さんドノヴァンは、冷静沈着で大胆不敵、生き生きと物語の世界に息づいていました。
ストーリー自体は、模造品の偽ダイヤを使った詐欺。奇想天外というか荒唐無稽というか、そんなにうまくいくかよってツッコミどころもあるんですが、安心して物語の世界を楽しめます。
ここだけの話ですが、風間柚乃さんはスタイルが今ひとつでカッコ良すぎないところがいいんですよね。お芝居にリアリティが増します。
カッコ良すぎないといっても、シュッとしたスーツの着こなしで、目線や指先まで繊細で大人の色気があります。
これから月組二番手としてトップスター鳳月杏さんとどのように住み分けていくのか、楽しみです。8年という学年差もあるので、思う存分暴れてほしいです。
感想:宝塚月組ブラフ:ドノヴァンの仲間はイケメンぞろい。
ドノヴァンの仲間は、高翔さん演じる年上のイタリア人マローイ、レディ・ディ(羽音 みか)、若手のコステロ(真弘蓮)、シドー(瑠皇りあ)、アヴェリー(雅耀)の6人。
とりあえず若手がイケメンすぎるでしょう。特に、瑠皇りあ君と雅耀君とのからみなんて眼福眼福。なんて美しいんだ!
相変わらずマサツカ先生、すみずみまで役名をつけてますが、どんな役なのか詳細がわからない。たとえば「メンデスの手下1」とか「ドノヴァンの仲間」とかつけてほしい。
それはさておき、ドノヴァンたちの冒頭のスタイリッシュなダンスシーン。皮手袋を片手に持ってもう片方の手に打ち付けるように音を出す。
かっこいい!
感想:宝塚月組ブラフ:彩海せらロジャーが好演
場面は変わって刑務所からロジャーが出所してくる。ロジャーは102期の彩海せらさん。イケメンな上に浅はかで女好きでいい!
迎えに来た姉シャロンは牛乳瓶の底のような眼鏡をかけて、服装はおかまいまし。
『再会』に出てきた図書館員のサンドリーヌみたいな人物造形ですね。
シャロンはロジャーにくどくどと泣き言をいう。
うじうじした姉にロジャーはイライラが増すのか、ひどい言葉ばかりぶつけるのですねー。
場面変わって裏カジノへ。バーの踊り子のジェシカの天愛るりあちゃんがお色気むんむんでいい仕事しています。
お色気にクラクラしながら店のディーラーとポーカーに興じる老人。いかさまに引っ掛かったふりをして、わざと負けて偽ダイヤモンドで支払おうとする。
いや、この老人が風間さんだとはしばらく気づきませんでした。おじいさんが板についている。青年ドノヴァンになった時のカッコよさとのギャップがすごい!
いかさまにひっかかったふりをして老人がさらなるカモになろうというところで、居合わせたロジャーに止められる。
ロジャーは金の匂いを嗅ぎつけて老人ドノヴァンに近づき、この後もちょろちょろした挙句にグループを危機に陥れるのですが……。
実はそれも計画のうちに組み込まれていて、良いところなしなのも憎めない。
感想:宝塚月組ブラフ:シャロン106期の花妃舞音(はなひめ まのん)にキティ109期の乃々れいあ
ヒロインはロジャーの姉シャロン。106期の花妃 舞音(はなひめ まのん)ちゃん。
自己肯定感の低いエキセントリックな女の子。相変わらずロジャーにひどい言葉で罵倒され続けています。
シャロンの美しさを見抜いたドノヴァンは作戦を変更します。シャロンもドノヴァンに説得されて、美しいレディに変身して人生を変えることを決意。
花妃舞音ちゃんは『応天の門』の幼い藤原多美子のイメージがありますが、新人公演ヒロイン2回も経て、すっかりヒロインの風格。
ドイツ人の研究者令嬢マレーネに扮している時と、自信なさげなシャロンの時の落差が激しいのも上手。
劇団としては風間柚乃さんとの相性を見ているところなんでしょうね。ワタクシらら子的にはばっちりだと思います。
役作りなんだか実際そうなんだか、ときどきすがるようなまなざしで風間さんを見上げたり見つめたり。風間さんの大人の余裕がますます際立つのですねー。
それから花屋キティ役の乃々れいあちゃん。初めはちょい役かと思っていたら、後半になるにつれてどんどん存在感が増していきます。何しろセリフがうまい。
実はドノヴァンたちの恩人の孫娘で、メンデスの動きを探っていたと後からわかります。
なんと109期生なんですね。先ごろ研2で新人公演ヒロインをしたばかり。これからどんどんきれいになって早くトップ娘役候補に名を連ねてほしいです。
感想:宝塚月組ブラフ:最強コンビ佳城 葵(メンデス)と彩みちる(アイリーン)
表舞台でドノヴァンたちがメンデスへの復讐のシナリオを計画通りに着々と実行している間、裏ではメンデスが苦労していました。
敵役メンデスは97期の佳城葵(かしろあおい)さん。風間柚乃さんとも仲がよく、身体能力も高く芝居巧者。その妻アイリーンは99期で俺の彩みちるさん。
メンデスの妻アイリーンはゴッドファーザーの姪。筋の通らないことが大嫌いで情に厚い。超美人でスタイルがよくておしゃれできっぷのいい姐さん。
みちるちゃんのその迫力ったら!
外では非情なメンデスも家に帰ればアイリーンに頭が上がらず毎日花束を贈り、イタリア人ではない自分を呪い、厄介ごとがあれば胃が痛くなり、鼻で笑われている。
マサツカ芝居といえば月組公演 『Eternal Voice 消え残る想い』でみちるちゃんはエゼキエルを怪演。佳城さんはバチカンから遣わされた冷徹な殺し屋をやっていました。
どちらも超がつくほどマサツカ先生に気に入られたでしょうねぇ。
マサツカ先生のお稽古と言えば、先生自らセリフと演技の見本を見せるので有名。アイリーンとメンデスのシーンはお稽古見てみたかったなぁ。
それにしてもアイリーンのド迫力。娘役ちゃんがここまでドスの効いた声を出せるとは。顔芸もすごいですよ。そして、ふと見せる切なそうな表情。大好き。
最後メンデスをおどすために銃口を向けてメンデスに奪われて殴られたピストル、弾が入っていなかったんですよね(涙)。
マサツカ先生、うまいなぁ(うまかったなぁ?)
感想:宝塚月組ブラフ:大どんでん返しの心地よさ(ネタバレあり)
メンデスの資金源は集めたダイヤモンド。銀行の貸金庫に入っています。市場に偽ダイヤが出回るとダイヤの価値が下がって組織は大弱り。
ゴッドファーザーと妻アイリーンに厳しくせっつかれる一方で、自分の身代わりで死んだ昔の恋人の面影をもつマレーネとの愛を成就したいメンデス。
マレーネはメンデスを家に招き、父が研究者で偽ダイヤを作っていることをメンデスに知らせます。
この辺りのメンデスの翻弄されっぷりが、見ていて本当に楽しい。もっと高価なダイヤがあればもっと精巧で大きなダイヤが作れると聞き、メンデスはダイヤモンドを持ち込みます。
しかし、マレーネは撃たれ、実はキティがゴッドファーザーから派遣された監視役と知り、メンデスは冷静ではいられなくなります。
メンデスは出来上がったばかりの(だと思い込んでいる)ダイヤをポケットに詰め込んで、手下を置いて逃亡……。