感想とみどころNHK 「新春・宝塚スペシャル」BSプレミアム放送:『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』ウエルカム宝塚!JAPAN TRADITIONAL REVUE

こんにちは。らら子です。

「あなたの夢は何ですか。みんなあなたにかなえましょう。」「ウエルカム!ウエルカム!宝塚」2021年1月2日BSプレミアムで「新春・宝塚スペシャル」が放映されました。去年は宙組でしたねー。

その様子をちょっとうんちくを込めてレポートします。

目次

NHK BS 「新春・宝塚スペシャル」宝塚大劇場からのご挨拶は星組トップコンビ礼真琴さん舞空瞳さん

2021年の宝塚大劇場からのご挨拶は宝塚星組のトップコンビ礼真琴(れい まこと)さんと舞空瞳(まいそら ひとみ)さんのご挨拶でした。

鮮やかな振り袖に緑の袴。お二人はこの春にトップお披露目公演でした。宝塚大劇場でのお披露目公演は、なんとか千秋楽まで上演できたものの、東京公演は長らくの休演。

夏から秋にかけてやっとお披露目公演にこぎつけました。感無量の表情をしていらしたのが印象的です。

お客さんたちもマスク姿で登場。やっと劇場のお客さんたちの喜びの声を印象でしたね。



NHK BS 「新春・宝塚スペシャル」『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』

さて、この『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』。らら子は東京宝塚劇場でも拝見しました。とてもレベルが高くてびっくりでした。

宝塚で日本物または和物が上演されるときにほめことばで「お腰が入っている」という言い方をします。「腰を入れる」という言い回しもありますし、下半身が安定しているとか、そういう意味かなと思っていましたが、お腰の入ったショーです。

宝塚の和物ショーといえば、洋楽に合わせて着物での舞い踊りですが、ブーツを履いたり日本っぽい感じのものも多い中、ここまで本格的な日本舞踊を見せてもらえるとは感激でした。




『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』:坂東玉三郎監修 植田 紳爾演出:山村友五郎との親子コラボ

この作品は、宝塚元理事長の植田 紳爾(うえだ しんじ)さんの作・演出。当代の名女形・坂東玉三郎さんが監修したことでも話題になりました。

植田紳爾さんといえば、宝塚の大ヒット作『ベルサイユのばら』で宝塚歌劇を人気を不動のものにした立役者ですが、実は日本舞踊にもとても造詣が深いのです。

今回の公演でも、日本舞踊は花柳流や山村流の振り付けが入っていますが、植田紳爾さんの息子さんは山村流宗家の山村友五郎さん。

プロローグとフィナーレは山村友五郎さんの振り付けです。宝塚の舞台と日本舞踊を知り尽くしているといっても過言ではないですね。

ベルばらは永遠の長谷川一夫さんの演出、そして今回はあの坂東玉三郎さんの監修。

インタビューで、植田さんはアルティザン(職人)ではなくアーティスト(芸術家)同士のレベルで話ができたと話していましたが、観ている側にもそれが伝わってきます。




『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』初観劇や海外客にもわかりやすく本物を見せる

今回の演目は、本来は2020年の春に上演される予定で、東京オリンピックで海外からのお客さんからを意識した作りになっています。

宝塚歌劇は初心者が見てもわかりやすい演目が多いですが、今回はさらに「初観劇や海外客にもわかりやすく本物を見せる」ことが徹底されていたと思います。

「あなたの夢は何ですか。みんなあなたにかなえましょう。」で始まる、わかりやすい言葉とメロディ、そしてサビの部分は「ウエルカム!ウエルカム!宝塚」の連発。

単純なだけに耳に残りやすいし、終演後もふと口に出てしまうような軽快なメロディです。そして踊りの動きも激しくなく、複雑なフォーメーションもありません。ということは、それだけ揃った動きが要求されるということ。ひとりひとりの動きがきちんとしていないと成り立ちません。

今回はコロナ禍による休演期間が長く、結果的にお稽古時間がたっぷりとれたということもあるのでしょうが、ひとりひとりが真剣に役に向き合っているのを感じます。

トップスターの玉城りょうさんが監修の玉三郎さんの教えの中で、「音楽を聴いているだろうけど、もっと音楽を体に入れて」という言葉を印象的だったと言っていましたが、「体に音楽を入れる」が体現されていたように思います。




NHK BS 「新春・宝塚スペシャル」ゲストは中村橋之助さんと真琴つばさん!月組トップコンビ玉城りょう(たまき りょう)さん&美園さくら(みその さくら)さんのトーク

トップコンビ玉城りょう(たまき りょう)さん&美園さくらさんの挨拶とトーク、そしてゲストトークが放送されました。東京宝塚劇場の2階ロビーでの収録だったようですね。

玉城りょう(たまき りょう)さん&美園さくらさんは2021年に退団を控えていますので、ほぼほぼ集大成の公演ともいえます。

ゲストは、歌舞伎俳優・中村橋之助さんと、元月組トップスター・真琴つばささん。中村橋之助さんは、中村芝翫(なかむら しかん)さんと三田寛子(みた ひろこ)さんの長男ですね。

その橋之助さんは大の宝塚ファン。きっかけは玉城りょうさんと愛希れいかさんの『エリザベート』。玉城りょうさん演じるトートに魂を射抜かれて、終演後にしばらく席を立てなかったとか。




宝塚ファン中村橋之助さん新春浅草歌舞伎公演のスチール写真は花組ポーズ!

SNSでも宝塚の演目について語りましょうと投稿をしていて、そのコメント欄で語り合うのが楽しみだそうです。新春浅草歌舞伎公演のスチール写真も宝塚の「花組ポーズ」にしてしまったほど!

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花組ポーズというのは、ワタクシらら子の覚えている限り、花組トップスター春野寿美礼(はるの すみれ)さんの頃に生まれたと記憶しています。今やすっかり定着していますね。

千穐楽の終演あいさつの締めくくりとして「花組、最高!」やらないと観客も納得しないみたいな……。
月組は「月組ジャンプ」というのがありますね。





『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』プロローグ:チョンパで始まる王道の和物ショー

宝塚の和物ショーはチョンパで始まるのがお約束。

ショーが始まる時に幕が上がっていて真っ暗闇の中。パッと照明がつくときらびやかな着物を着た白塗りの出演者(組子=歌劇団の生徒)が勢ぞろいしているという演出。

思わずタメ息が漏れます。分かっていても毎回、わーってなる。

チョンパじゃなければ和物ショーじゃないというほど、みんな大好物。

「あなたの夢は何ですか。みんなあなたにかなえましょう。」と歌いながら、フォーメーションが入れ替わり、「ウエルカム!ウエルカム!宝塚」連呼。

これぞ宝塚、これぞレビュー。舞台の端から端までキラキラしていて、目が足りません。






『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』初舞台生の挨拶:挨拶するのは組長と誰?

初舞台生が組長の紹介で挨拶をします。組長は光月るう(こうづき るう)さん。今年は106期生が初舞台を迎えます。

2020年3月に宝塚音楽学校を卒業してただちに宝塚歌劇団入団。4月の初舞台のはずがここまで伸びてしまいました。珠城りょうさんも言っていましたが、不安で辛い毎日だったと思います。

例年、「雛鳥」たち初舞台生の挨拶は黒紋付に緑の袴の正装ですが、今回の公演は和物ショーということで、娘役も男役もみなお揃いのおかっぱにピンクの着物で可愛かったですね。組長さんも歌舞伎の口上のような挨拶です。

挨拶をする初舞台生は、当番制で公演回ごとに変わっています。




『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』雪:松本悠里(まつもとゆうり)さん日本舞踊専科の退団公演:若衆3人は誰?

-雪と月と花と「雪」は、ビバルディの四季に乗せて、恋に破れた乙女の姿が描き出されます。

専科の松本悠里(まつもとゆうり)さんが主役。専科というのは歌や踊り芝居などに長けた人が所属しています。各組に年輩役などで出演して舞台に重みや奥行きを与えてくれます。

松本悠里(まつもとゆうり)さんは、宝塚歌劇団を代表する日本舞踊の名手です。今回の公演で退団をします。いつもみても愛らしいお姿で年齢不詳です。今回も赤い振袖がよくお似合いです。

この場面で、登場する若衆3人。すっと現れてただ歩いているように見えてなかなか只者ではない佇まい。

千海華蘭(ちなみ からん)さん、春海ゆう(はるみ ゆう)さん、蘭尚樹(らん なおき)さん。 この3人はいずれも得意な若手です。

偶然、3人とも芸名に海か蘭がつきますね。春海ゆう(はるみ ゆう)さんは植田さんの姪で、山村流の一族とのこと。蘭尚樹さんはタカラヅカ100周年の時、初舞台生ながら中央で獅子舞を踊り注目を浴びました。




『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』月:
新月から満ちていく圧巻の場面

続いてベートーヴェン『月光』ソナタに乗せての群舞。黒いベールをかぶり、衣装に電飾がついているのかキラキラ輝いています。

初めに登場するペアはダンスの名手、暁千星(あかつき ちせい)さんと、娘役の天紫珠李(あまし じゅり)さん。

珠李ちゃんは男役でしたが娘役に転向して次々と大きなお役が付いています。男役から娘役に転向したトップ娘役は多く、前の月組トップ娘役の愛希れいかさんも元男役です。

なので、珠李ちゃんも劇団の期待の星ということなのでしょう。

次は、鳳月杏(ほうづき あん)さんと海乃美月(うみの みつき)さん。月組の実力派としてよくコンビを組んでいるので息もぴったりです。

鳳月杏さんは脚がとても長く、それでいて着流しで踊る姿が安定しています。こういう姿が「お腰が入ってる」って言うんだなと思います。和物メイクもきれいですよね。

最後に登場するのは、トップの2人。さすがの貫禄です。フォーメーションも美しいですね。

幻想的な中に強い意志を感じる圧巻の出来栄えです。




『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』月:
新月から満ちていく圧巻の場面

チャイコフスキーの『花のワルツ』に乗せて、月城かなとさん扮する美しい若衆が登場します。

何やら自分に自信なさそうな様子ですが、鏡の中のもうひとりの自分にいざなわれて、男役へと目覚めていきます。

鏡の中の若衆は、今売り出し中の風間柚乃(かざま ゆの)さん。故・夏目雅子さんの姪にあたるので、宝塚音楽学校入学当初や入団当初ずいぶん話題になりました。

まだ100期生ながら中にはおじさんが入っているのでは?と思うほどの貫禄。男役として恵まれた体格。将来が楽しみです。

鏡合わせに向かい合う二人の息のあった動きは、ときにコミカルで楽しいですね。




『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』フィナーレ:山村友五郎さん宝塚を知り尽くした演出:松本悠里さん万感の思いで最後の舞。影ソロ白雪さち花さん。

再び、全員が舞台上に登場しての総踊りフィナーレ。また耳になれた「あなたーの夢はなんですか」と「ウエルカム!ウエルカム!宝塚」の連呼。

山村友五郎先生の振り付けで、いかにも宝塚らしい安心感のあるレビューです。じっくり一人ひとりの顔を眺めることもできます。

複雑な踊りではないだけに、月組の底力を感じますね。

いったん全員が舞台をはけて、次は、松本悠里先生のターン。貫禄です。

(舞台には姿を見せずに歌う影ソロに乗せて、万感の思いを込めて舞い踊る松本悠里。影ソロはベテラン娘役の白雪さち花(しらゆき さちか)さん。うまいですー。

再び、全員登場。お扇子をもっての総踊り。ケレン味のない、ごまかしのきかない舞が今の月組の充実ぶりを物語っているようです。すばらしい舞台を拝見しました。




NHK BSプレ 「新春・宝塚スペシャル」ゲストのトーク

ゲストのトーク。橋之助さんは感想を聞かれて、「女性は宝塚を見たら、世の男性なんか必要なくなっちゃうんじゃないでしょうか。」と笑っています。そのとおり!「見応えもあるし、華やかもなんともいえないと」良いコメント。

真琴つばささんは、時代は変わっても変わらない月組らしさに感動していました。

宝塚を、もっと楽しめるポイントを聞かれた橋之助さん。
まったくのファン目線ですがと前置きして「心で感じる」「体で感じる」を上げていました。構えることなく心や体で感じて鑑賞してほしいと。「宝塚を知らない方は損してます。」といい切っていました。さすが。




NHKBSプレ「新春・宝塚スペシャル」上原りささん3つの鑑賞ポイント:パント!のおねえさんは長年の宝塚ファン

NHK Eテレ『おかあさんといっしょ』で「パント!」のおねえさんとして活躍してきた上原りささんは、小さい頃からの親子揃っての宝塚ファン。
上原さん流の3つの鑑賞のツボは、

1.同じ作品を最低3回は見る

その見方は、

1回目はトップや好きなスター
2回目は後ろのメンバー
3回目は全体を俯瞰

大賛成です!私もチケットが手に入りさえすればそうしたい!B席で全体を俯瞰するのも楽しいですよ。

2.意匠や小道具をみる

宝塚歌劇の魅力は細部にまでこだわった、衣装や小道具。特に、娘役さんの髪飾りやアクセサリーはそれぞれの公演役柄に合わせてビーズなどを使って自分たちでそれぞれ手作りしています。それを眺めるだけでも眼福。

先日の『美の壺』でも元・花組娘役スターの桜咲彩花(おうさき あやか)さんがビーズの回にアクセサリを紹介してくれていました。

美の壺「千変万化の輝き ビーズ」<File522>お店や場所はドコ?元・宝塚娘役の桜咲彩花(おうさき あやか)ほか出演者情報もお見逃しなく!NHK美の壺

3 初舞台生に注目!

りささんが関西に住んでいたときは、家族で初舞台生が出演する公演を見るのが恒例だったそうです。公演プログラムで初舞台生を覚えておいて、何年か後の成長を楽しむ!のが醍醐味だと。

宝塚の初舞台生のロケットダンス(ラインダンス)はいつ見ても胸熱になりますね。




NHKBSプレ「新春・宝塚スペシャル」真琴つばささんの思い出と106期生39名のロケットダンス(ラインダンス)

宝塚歌劇団入団するためには、宝塚音楽学校で2年間勉強して卒業する必要があります。宝塚歌劇団は入団してからも学校のように団員を「生徒」というので、入団したての人たちは初舞台生といいます。今年は106期生です。

真琴つばささんが初舞台生の時は、ロケットダンスの端っこだったそうです。損したなーと思っていたけれど、のちのち、お客様が「端から何番目の子が……」と話しているのを聞いて、はしっこも悪くない、むしろ客席に近くて目立ってよかったと思ったそうです。

ということで、話がロケットダンスに寄せられたところで、今公演での106期生39名によるロケットダンスの映像が流れることになりました。
やった!😊

ピンクと水色の衣装に身を包んだ初々しい初舞台生たち。まさにひな鳥。フォーメーションも回転も多く、レベルが高いですね。

ところで例年のことですが、、東京公演では初舞台生全員が参加していないので本拠地で初舞台生が行うロケットダンスは、入団2年めや3年めの若手が参加します。

今年はちょっとした異変が起こりました。




106期生39名のロケットダンス(ラインダンス)と東京公演ロケットダンス(ラインダンス)との違いは?

今回は、感染拡大防止の観点から、若手出演者の数に制限がありました。

それだけでもいつもよりベテラン(上級生)が出演するのは必至だったのですが、さらに舞台演出の都合で若手娘役全員がロケットダンスには出られないという事態が起こりました。

このため、今回の東京公演ではロケットダンスは全員が男役。研究科10年生、つまり入団10年目までのと言われる中堅まで出演しています。

宝塚には「男役10年」という言葉があり、10年もすれば男役が完成形に近づいて行きます。そんなわけで、先程の風間柚乃さんとか、骨ばった男役に定評のある朝霧真(あさぎり まこと)さんもロケットダンスのメンバーに入っていて、妖しい魅力を放っています。

本来女性の人たちがここまで男に近づけるように日夜努力しているのだということがしれて、こちらも見ものです。

月組千秋楽はライブ配信されますし、この機会に是非。




NHKBSプレ「新春・宝塚スペシャル」2021年の宝塚歌劇への期待と抱負

橋之助さんの熱いファンぶりに感動の面持ちの真琴つばささん。

第2第3第4の橋之助さんが生まれることを期待しているという真琴つばささんは、2021年への豊富を聞かれて、「ブレない仕事」を目標に掲げていきたいと語ります。

橋之助さんは「コロナに負けず、生の舞台をよりギアを上げて勤めていきたいと思っています。そしてファンとしてもギアを上げていきたい。」と語っていました。

中村橋之助さん、舞台でのお姿を期待しています!

そして、月組トップコンビは、珠城りょうさんは、宝塚ならでのはの点について「世界各国の舞台をやっている劇団というのはあまりないのではないか」と語り、美園さくらさんは「他国の方を演じる違和感を超えて演じていきたい」と語りました。

さらに珠城りょうさんは「女性だけで成り立っている劇団だけではない」という自負をのぞかせていました。

植田紳爾さんは「お客様を、次も次もと思っていただくのが宝塚の使命」と語っていました。

みなさんの思い、どれも納得です。これからの宝塚を楽しみにしております。

橋之助さんの熱い思いもしっかりと受け止めました。実はわたくし橋之助さんがこんなにも深い宝塚愛を語ってくださるとは思っていませんでした。

じんわり感動しております。

本年も宝塚歌劇にとってみなさまにとっていい1年になりますように。