感想:ホテル スヴィッツラ ハウス宙組『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』梅芸ライブ配信 梅田芸術劇場メインホール公演:宝塚歌劇団

こんにちは。らら子です。コロナ禍の状況で、しかも全公演中止という中、一筋の光が見えた美しい世界でした。まさに「心の宝石箱」。宙組『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』を無観客ライブ配信で観劇。作・演出の植田景子先生らしい宝塚歌劇らしいゆめゆめしい舞台です。優美でハッピーエンドでありながら、出演者、関係者の舞台芸術への熱い思いが伝わってくる作品でした。



感想:ホテル スヴィッツラ ハウス:美しい人々の美しい姿

真風涼帆さんはいつも通りのマカゼさんでしたが、スーツ姿のかっこよさったら!ロングコートのかっこよさったら!ソフト帽のきざりぐあいのカッコよさったら!もうもう日本の宝ですよ。女たらしぶりも最高。
「カメラまでいる!」というアドリブもよかったです(笑)

そしてすっきりと美しく渋みの増した芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)。メイクがちょっと変わりましたかね。この二人の美しいスーツ姿で、ビリヤードのキューを使ったダンスって。もう植田景子先生、その発想すばらしすぎますってば。本当にあり瓦当ございます。

バレエダンサー役の桜木みなとさん(以下:ずんちゃん)は前作のアナスタシアがおひげのおじさまだったので、ひさびさに美しいお顔を拝見しました。ウエーブのかかった前髪
バレエシーンも、バレエのお衣装も素敵。




感想:ホテル スヴィッツラ ハウス:どの場面も美しい

さすが舞台と衣装の美しさには定評のある植田景子先生の作・演出。背景も光の当たり具合も、どのシーンを切り取っても美しかったです。やっぱり宝塚の舞台は美しくなくちゃねぇ。

特に素敵だと思ったのは、ホテルのフロントのシーンと、ベッドルーム。フロントのカウンターは上の小物までこだわってるし、ベッドメイキングも美しい。天井が高く柔らかな光が差し込み、いかにも高級ホテルといった優雅さが伝わってきます。

ベージュにスカイブルーがアクセントカラーになったホテルの制服も美しいし、壁に掲げられている「Unus pro omnibus, omnes pro uno(ウヌス・プロ・オムニブス、オムネス・プロ・ウノ=1人はみんなのためにみんなは1人のために)」という言葉もホテルの格式を感じさせます。

あー生で見たらどんなにか美しかっただろうなー。




感想:ホテル スヴィッツラ ハウス:トップ娘役潤花ちゃんお披露目

そして、わすれちゃならない。本作品は宙組新トップコンビのお披露目公演でした。
潤花ちゃんはバレエがばっちり踊れるし、ダンサーとして光ってるイメージでした。

前回アナスタシアでも劇中劇のバレリーナ役でバリバリ踊ってましたが、なかなかいいお芝居をしますねー。

なにより声がきれいだし、上品なセリフ回しがとてもいい。ちょっと元トップ娘役の 野々すみ花ちゃんを思い出します。

美人だけどお顔立ちがちょっと地味ですが、マカゼさんとの並びも合うし、芯のある大人の女性役とかバンバンやってほしいです。

歌声はちょっと線が細い印象ですね。お歌もがんばれば無敵ですね。

ところで、知り合って間もない二人のダンスシーンで、マカゼさんのスーツの衿元が変な風に折れてしまってたんですよね。

ちょっとハラハラしていたのですが、ダンスのあといろいろ話してから彼女が去っていく、という時になって声をかけながらささっと衿を襟を直してはけていったのは感心しました。




感想:ホテル スヴィッツラ ハウス:線上の遥羽ららちゃんと、実力派の小春乃 さよちゃん

今回もうひとつ話題だったのが、娘役スターの遥羽ららちゃんが、主な登場人物に記載されていたこと。ららちゃんの役どころは元バイオリニストで富豪の若き未亡人。キキちゃんとは昔馴染みの設定で、一緒にいる場面が多かったのですが、まー二人の並びの美しいこと。

ららちゃんはスッキリやせ型ではないですが、それが何とも言えないゴージャス感を出してるんですよね。ウエストをしぼったペプラム付きのツーピースがよく似合ってました。

一方、実力派の小春乃 さよちゃんは、マカゼさん演じる捜査官の上司の娘エヴァ役。謎を解くカギを握っていて、万里柚美さん演じるイギリス人富豪夫人のお付きの看護師。
ホテルの華やかさとは一線を画していますが、それが舞台に奥行きを与える存在感となっていました。

万里柚美さんの精神に異常をきたしているというイギリス人富豪夫人も、ゾクゾクっとしました。




感想:ホテル スヴィッツラ ハウス:「劇場ここに人生を」作品からつたわる想い

話は第二次世界大戦中。大戦によって人生を狂わされた人々。それぞれのエピソードが回想シーンのように少しずつ出てきて、それぞれにそれぞれの想いがあって引き込まれます。

ナチス将校と愛し合うオペラ座のバレリーナ、かつて恋人が実はドイツの女スパイだったがために悪に手をそめた捜査官、爆撃で婚約者を亡くした主人公、最愛の息子を戦争で亡くした未亡人、ユダヤ人であるがゆえに迫害される音楽家、etc

見ている側は自然と、大戦=コロナ禍と重ね合わせていきます。

ニジンスキー救済のために結成されたバレエ団が、実はナチスに通じていたことが明らかになり、公演中止を余儀なくされます。

しかしある取引をして、なんとか公演を実現させます。
そして次々と繰り出されるこれらの金言。

「私たちの公演はお客様に一筋の光を与える」「かけがえのない豊かな時間」「心を満たす何か」「開幕すれば現実から離れた世界」

舞台芸術で観客は心の宝石箱を受け取り、現実世界に戻ったあともそっとその蓋を開けるのですよね。

きれいに包まれた舞台に熱い思いが込められていました。拍手を送れないのがもどかしい。

マカゼさんが挨拶の最後に「一緒にがんばりましょう」と。はい、がんばりましょう。




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