初めて文楽に行く前の予習や、デビュー後のおさらいのための本をリストアップしました(^^♪
文楽はもともと庶民の娯楽=一般人のエンタメなので、いきなり行ってもそれなりに楽しめます。
でも、現代人にはよくわからない決めごとやしきたりがあって、デビュー前に知っておいたらもっと面白かったのになと思うこともあります。
ネットで調べるのもいいけど、やっぱり本はまとめてわかるし便利。
といっても、どこから手をつけていいのやらという方のために、らら子が7冊チョイスいたしましたー。(番外編として1冊最後に載せたのは絶版なのです(T_T)
文楽の魅力はさまざま。
演者(技芸員)さんが好きになっちゃった♡とか、
人形が好き!とか義太夫節にしびれた!とか。
ファン目線で楽しみたいとか、研究したいとか。
もっと知りたくなっちゃった!という方、一緒に行く友達に、らら子が「これいいよ!」と勧めたい7冊+αです。
目次
- 桐竹勘十郎、吉田玉女『文楽へようこそ』小学館,2014.
- 竹本織太夫『文楽のすゝめ』実業之日本社,2018.
- 竹本織太夫『ビジネスパーソンのための文楽のすゝめ』実業之日本社,2019.
- 竹本織太夫『14歳からの 文楽のすゝめ』実業之日本社,2019.
- 藤田洋『文楽ハンドブック』三省堂,2011.
- 高木秀樹『新版 あらすじで読む名作文楽50選』世界文化社,2015.
- 松平盟子『文楽にアクセス(劇場に行こう)』淡交社,2003.
- 堀口初音『上方伝統芸能あんない:上方歌舞伎・文楽・上方落語・能・狂言・上方講談・浪曲・上方舞』創元社,2011.
- 三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』双葉文庫,2011.
- 【番外編】権藤丈一『文楽の世界』講談社,1985.
桐竹勘十郎、吉田玉女『文楽へようこそ』小学館,2014.
文楽を初めて見る前、人形や人形遣い好きにおススメの本
文楽を初めて見る人でも、きっと目が行く人形遣い(にんぎょうづかい)の二本柱、桐竹勘十郎さんと吉田玉女(現・吉田玉男さんによる文楽案内。
文楽デビューの前にパラパラと見ていくのによし、観終わってから余韻にひたひたしながら眺めるのにもちょうどいい本です。
写真が多いので文楽というものをイメージしやすいし、薄くてハンディなのもグッド。
この2人は同期でよきライバルであり、中学生の時に出会っていらい40年以上も仲良し同士。
そしてそして、オトコマエかつイケメン同士。見よ!!この表紙画像のうるわしいこと♡
これだけでご飯が三杯いけますなー。
内容は、2人の対談、お気に入りの演目の紹介、劇場案内、サービスショットの数々(*^^*)
さらに、豊竹呂勢太夫さん、鶴澤燕三(三味線)さんへのインタビュー鶴澤清志郎(三味線)さん、吉田一輔(人形遣い)さんの文楽ゆかりの土地案内、
イケメン豊竹咲寿太夫さんのちょっと不思議なコミックも載ってます。
文楽鑑賞前、鑑賞後、そして、ココロがかわいた時に取り出してニヤニヤながめたい1冊です(笑)
竹本織太夫『文楽のすゝめ』実業之日本社,2018.
文楽の義太夫、太夫好きの人におススメの新感覚本
上で紹介した『文楽へようこそ』は主に人形遣いさんからの案内ですが、こっちは語りを担当する太夫さんからの案内です。
文楽界のサラブレッド竹本織太夫さんが、豊竹咲甫太夫から六代目竹本織太夫を襲名の記念に刊行したものなので、2018年と新しめ。
観劇のヒントになるしきたりや演目を、若いひとたちにもわかるようなことばで紹介してます。
アラフォー旦那の不倫とか、マイルドヤンキー殺人とか、キャラ別の人形の頭(かしら)の解説とか、カリスマ近松門左衛門の紹介とか……etc
文楽を知らない方にこそオススメの本ですねー。
お友達やお子さんへのプレゼントにもよいかも。
その他にも、美人小説家の朝吹真理子さん、文楽愛ダダモレのいとうせいこうさん、この後で紹介する小説家・三浦しをんさんのエッセイがあります。
全体的にオシャレな雰囲気 ✨
竹本織太夫『ビジネスパーソンのための文楽のすゝめ』実業之日本社,2019.
2019年末には、ビジネスパーソン向けの新刊も出ました。
文楽には、現代の日本で働くビジネスパーソンにこそ観て頂きたい、普遍的な学びがあります。
文楽好きの岩瀬大輔さん(ライフネット生命保険株式会社 創業者)、
水口貴文さん(スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 代表取締役最高経営責任者〔CEO〕)、
小泉進次郎さん(衆議院議員)にも登場いただきながら、
新しい切り口で文楽の深さとおもしろさを伝えるスペシャルな一冊です。
出典:Amazon
竹本織太夫『14歳からの 文楽のすゝめ』実業之日本社,2019.
2022年には中学生向けも出ましたよ。
人生で大切なことは文楽が教えてくれる。
14歳のあなたへ贈る、文楽の魅力が詰まったビジュアルブック出典:Amazon
藤田洋『文楽ハンドブック』三省堂,2011.
ずっと手元においておきたい小事典。初心者のうちからしっかり学びたい人におススメの本
著者の藤田洋さんは、『演劇界』編集長などをつとめた演劇評論家です。ほかに『歌舞伎ハンドブック』とか『日本舞踊ハンドブック』なども出ています。
「文楽の歴史から特色、演目、用語までをわかりやすくまとめた文楽のすべてがわかる小事典。」
と、キャッチコピーにあります。文楽の成り立ち、用語、演目、演者(技芸員)紹介などすべてをカバーしています。
文楽関係の本の一覧や、用語の索引なども充実していて、調べやすい。
写真はモノクロのみで小さめ。
字もたくさんで細かく書いてありますが、こんなにたくさん書いてあって、このお値段!コスパは高いですねー(コスパゆうな。
演者(技芸員)紹介は写真入りでていねいです。
経歴や芸歴をコンパクトにまとめたあと、「芸の幅を広げる努力をしている」とか「内に秘めた闘志はなかなかのもの」とか、ひとこと添えてあるのもうれしい。
過去の名人についてものっているので、ハンディブックという通り、わからないことがあったらこれを見るようにしています。
もちろんブログを書く時も参考にしますよ!
人気の本らしく、第3版まで出ていますが、一番新しいのでも刊行が2011年なので、第4版が早く出るといいなと思います。ずっと手元に置いておきたい1冊です。
高木秀樹『新版 あらすじで読む名作文楽50選』世界文化社,2015.
文楽の世界、物語をパッとひと目で楽しみたい人におススメ
劇場に行くとイヤホンガイドが借りられます。
上演中に「ここは見どころです。」とか「これはこういう意味です。」とか、タイムリーに解説してくれるスグレモノ。
この本は、そのイヤホンガイド解説者で歌舞伎・文楽研究家の高木秀樹さんが書いています。人気の文楽50演目を、三大名作、時代物(女)、時代物(男)、世話物、景事(踊り)に分けて解説。
「はじめに」で鼻息あらく語っていらっしゃるとおり、とにかくわかりやすい。親しみやすい、そして見やすい(^o^)
「はじめての方にも絶対に文楽を好きになってもらう。そして「また文楽を見に行こう」という気にさせる…。その気概をもって解説の業務に励んでまいりました。この本でも方針は変わりません。
「はじめに」抜粋
演目ごとに、タイトルとキャッチコピーがあって、「主な登場人物」、「ここ観て聴いて」のみどころ紹介、そして美しい舞台写真で文楽の魅力をわかりやすく解説してあります。
写真は青木信二さん。この写真を見ているだけでシアワセ(*’▽’)
そして、動いている人形に会いに行きたくなります^^
あらすじで読む名作50選シリーズは、別の著者で『新版 あらすじで読む名作能50選 (日本の古典芸能) 』、『新版 あらすじで読む名作狂言50選 (日本の古典芸能) 』、『新版 あらすじで読む名作歌舞伎50選 (日本の古典芸能)』などがあります。
松平盟子『文楽にアクセス(劇場に行こう)』淡交社,2003.
自分でどんどんチケット取って観に行きたい人におススメ
王道の文楽案内です。著者の松平盟子さんは歌人。
刊行が2003年でちょっと古いですけど、よくまとまっています。
自力でチケット手配して文楽を見に行きたい!とか、文楽というもののなりたちを行く前にできるだけ予習したいとか思う自立した方におススメ。
劇場に行こうというサブタイトルがついている通り、チケットの買い方、演目の紹介、舞台裏、人形の組み立て方、舞台の構造などの説明があって、この本だけでとりあえず全部わかります。
それと、人気の演者(技芸員)へのインタビューもあります。「新世代インタビュー」といいつつ、もはやベテランさんになってますけどね(^_-)-☆
今見ると、わっかーい(*’▽’)と思います。
同じ時期に『歌舞伎にアクセス』『能にアクセス』『狂言にアクセス』と伝統芸能系の案内本がシリーズで出てます。
堀口初音『上方伝統芸能あんない:上方歌舞伎・文楽・上方落語・能・狂言・上方講談・浪曲・上方舞』創元社,2011.
文楽を他の上方芸能と比較しながら入門したいという人におススメ本
落語や歌舞伎など他の芸能に少し知識があって、これから文楽という人にもおすすめです。初心者のつまづきポイントなども詳しくかいてあるなど、ありそうでなかった本だと思います。こちらに書評も書いたのでご参考に。
三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』双葉文庫,2011.
文楽を初心者目線で楽しみたい人におススメ本
文楽の楽しみ方や古典名作の内容紹介です。
あえてファン、素人の立ち位置を保ってるところが、いさぎよい。
しをんさんと一緒になって「そうそうそうそう!」と、ダメ男へ「あんたヘンだよ」!と茶々いれたり、とんでもストーリーにつっこんだりしながら、どんどん文楽にあやつられていくのがのが面白いです。
三浦しをんさんは、もともとは文楽をたまに観る程度だったそうです。それが、エッセイ企画の取材のために定期的に文楽を観に行くようになって大ハマり。
取材だから、舞台裏を見たり、楽屋で演者(技芸員)さんの楽屋を訪ねてずっとその様子を観察したり、そりゃもう文楽の沼にハマっちゃうだろうなー。うらやましいなー。
連載がどんどん長引いたというのもよくわかります。
【番外編】権藤丈一『文楽の世界』講談社,1985.
文楽初心者に熱烈おススメなのに絶版本( ;∀;)
1985年の出版です。
とても気に入って便利に使っているのですが、絶版なんですよね。残念。
本の雰囲気は上で紹介した『文楽ハンドブック』とか『文楽にアクセス』に似てます。
似てますが、『文楽の世界』というだけあって、世界観やコンセプトの解説がメイン。
漢字少なめ、ひらがな多めです。
なんたって、「浄瑠璃」を「浄るり」と書いてある。
大阪の国立文楽劇場がオープンした直後だし、これから文楽を盛り立てていくために、ナウなヤング(死語)にも受け入れられるように工夫したんだろうなと思います。
他の本にはあまり知ることができない舞台裏の小ネタや豆知識がたくさん。
人形や三味線の作り方とかいろんな道具の作り方も出ているし、裏方さんが実名で紹介されてたりするのも新鮮。
あとの世代への記録としてもきっと大事ですよね。
目次は以下のように大きく分けて大見出しがあって、それぞれにトピックが分類してあります。
文楽の魅力
文楽の歩み
文楽の構成
文楽の人形文楽の周辺
近代の名人たち
文楽の趣向
文楽の面目文楽をめぐる話題
1トピックあたり見開きで右側が文章、左側が写真。
写真は、巻頭カラー以外は全部モノクロ。でも写真が大きいのでよくわかります。
それで各トピックにつけられたキャッチコピーが面白いんですよね。
100トピック目が「実力次第の文楽研修生」というタイトル。
昭和47(1972)年代に始まった文楽研修生の紹介です。
文末はこのように書いてあります。
文楽の場合は、実力次第で、いくらでもいい役がつき、スターになり、やがては人間国宝、芸術院会員になるのも、決して夢ではないのです。たしかに修業はきびしく、大変ですが、男としてやり甲斐のある仕事といえます。あなたもやってみませんか。(p298)
あなたもやってみませんか。
あなたもやってみませんか。
あなたもやってみませんか。
……って、研修生になれるのは、中学卒業から~23歳ぐらいまで^^; この本、青少年向けだったのか!?
という古くて新鮮な本は、絶版なので手に入れるのは難しそう。
らら子は図書館で借りました。Amazonでもマーケットプレイスで出品されてます。
「日本の古本屋」などの古本サイトでぜひぜひ探してみてくださいね。
以上、らら子でしたー。