こんにちは~。らら子です。
文楽(人形浄瑠璃)の三大名作って知ってますか?いわゆる代表作として有名な3作品です。
世の中に「三大ナントカ」って多いですよね。いわゆるビッグスリー(Big 3)です。
文楽にも三大名作といわれる演目がありますので見ていきましょう。
目次
文楽の三大名作といわれる有名な代表的作品は何?
人形浄瑠璃文楽つまり文楽の三大名作は、仮名手本忠臣蔵、義経千本桜、菅原伝授手習鑑です。
歌舞伎の三大名作は、仮名手本忠臣蔵、義経千本桜、菅原伝授手習鑑です。
あれっ?同じ?そう、文楽と歌舞伎の三大名作は同じです。だって、それは文楽が「歌舞伎の母」だから。
人形劇の文楽で大当たりしたものを、歌舞伎でも上演して人気演目になったんですね。
あ、「そもそも『浄瑠璃』ってなに?」って方はこちらもごらんくださいね。
文楽も歌舞伎も三大名作は「浄瑠璃三大名作」:かんたんあらすじネタバレ
つまり三大名作っていうのは、シナリオである浄瑠璃の名作なので、正しくは「浄瑠璃三大名作」なんです。
まとめると以下の3つ
- 延享3年(1746年)『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』
- 延享4年(1747年)『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』そして
- 寛延元年(1748年)『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』
立て続けに毎年ヒットを飛ばしているんですね~。
ただし、作者は一人ではなく、以下の3名による合作です。
- 二代目竹田出雲(たけだ いずも)
- 三好松洛(みよし しょうらく)
- 並木千柳(なみきせんりゅう)
浄瑠璃も何幕も続く長い作品がメインになって、ストーリーが複雑になってきたので、
複数の作者が分担して1つの作品を書く“合作(がっさく)”がされるようになりました。
三大名作以外にも、この3人ユニットでヒットを連発し、今も繰り返し上演されています。
さて、この三大名作がそれぞれどんなお話なのか見てきましょう。
菅原伝授手習鑑(すがらわでんじゅてならいかがみ)
菅原伝授手習鑑は菅原道真にまつわる周囲のエピソード
『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』は「菅原・伝授・手習・鑑」と分かれています。
キーパーソンは、学問の神様といわれる菅原道真(すがわらのみちざね)。
日本中にあるナントカ天満宮(てんまんぐう)とかナントカ天神(てんじん)で
まつられている天神信仰の神様です。
菅原道真は、書の三聖(空海・菅原道真・小野道風)の一人で、その筆法を「伝授」する場面が大序(プロローグ)で出てきます。
菅原道真は幼いころから頭がよく、政治家としても一流の超エリート。
ライバルは藤原時平(ふじわらのときひら)は道真を失脚させようと悪だくみをします。
京都から九州の大宰府(だざいふ)に追いやられてしまった事件がありました。
ここまでが史実。
『菅原伝授手習鑑』の登場人物は、「梅は飛び桜は枯るる世の中に何とて松のつれなかるらん」という和歌にちなんでいます。
話が作られた当時、三つ子が生まれて世間の話題になっていたので、松王丸 梅王丸 桜丸という名前がつきました。
それぞれの事情で三つ子が敵味方に分かれ、ドラマが盛り上がっていきます。
菅原伝授手習鑑は「寺子屋」が有名
菅原道真はシナリオ上は菅丞相(かんしょうじょう)という名前になります。本人はあまり登場しません。
菅丞相とその息子の菅秀才(かんしゅうさい)を救うためにドラマが生まれます。
ライバルの藤原時平のよみは「ときひら」ではなく「しへい」になります。
『菅原伝授手習鑑』の中でも、寺子屋に通う子役がたくさん出てくる「寺子屋」というのがおなじみで、歌舞伎や文楽鑑賞教室などでもよく上演されています。
元・上司のためにわが子を犠牲にする元・部下夫婦とか、人情と義理とで板ばさみになる人たちのドラマもあって、時代を超えて共感をよびます。
子役がたくさん出てきてかわいいのも人気があるんでしょうね。全段のあらすじはこちらをごらんくださいね。
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)源平の戦いの後日談。通称:「千本桜」
平安時代の「源平の戦い(げんぺいのたたかい)」つまり、源氏(げんじ) 対 平氏(へいし)の戦いをテーマにした物語です。
義経は、もちろん源義経(みなもとのよしつね)です。
のちに鎌倉幕府(かまくらばくふ)を開く源頼朝(みなもとのよりとも)、その弟で牛若丸(うしわかまる)としても知られています。
義経は、兄・頼朝から追われる身となり、武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)ら供数名とともに奥州をめざして逃げています。
一方、源氏に敗れた平家方の武将、平知盛(たいらのとももり)、平維盛(たいらのこれもり)、平教盛(たいらののりもり)がそれぞれ再起のチャンスを狙っています。
奥州に落ち延びていく途中の義経とそれぞれ出会っていきます。
二段目は「碇知盛(いかりとももり)」、三段目は「すしや」、四段目は「狐忠信(きつねただのぶ)」などの通称で呼ばれることもあります。
それぞれスペクタクルな見せ場があります。三段目の主役はすしやの息子いがみの権太、四段目の主役は佐藤忠信に化けた子狐です。
こちらもメインは義理と人情の板ばさみにまきこまれた人たちの悲劇です。
残酷な話ですが、なぜかとても美しい作品で人気があります。
全段のあらすじとみどころは以下のリンクをご覧くださいね。
仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)四十七士の赤穂事件がモデル。通称:忠臣蔵
『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』は赤穂事件がモデル。
江戸時代半ば(1700年代初)に、兵庫県西部にあった赤穂藩(あこうはん)の藩士たちが起こしたかたき討ちの事件です。
赤穂事件のきっかけは、江戸でお勤めをしていた赤穂のお殿様が、江戸城内でパワハラ上司に切りつけてしまった刃傷沙汰(にんじょうざた)。
罪を問われてただちに切腹させられ、藩はおとりつぶし。藩士たちはリストラ。
行き場を失った47人の藩士たちが、敵討(かたきう)ちを果たしたという実話です。
こうした事件をそのまま上演するのは江戸幕府に禁じられていたので、その舞台は鎌倉時代になっています。
12月になると『忠臣蔵』は映画(えいが)やテレビドラマでも取り上げられることが多かったのですが、最近の若い人は『忠臣蔵』を知らない人が増えているそうです。
全段のあらすじとみどころは以下のリンクをご覧くださいね。
「三大名作」初心者おススメの作品はどれ?
三大名作は名作と言われるだけに、見どころも満載。何度も上演されているので、初心者にもわかりやすくこなれています。
でもどれを見たらいいのか??
文楽を見たいひとに、どれがおススメ?って聞かれるんですが、『菅原伝授手習鑑』だったら「寺子屋」はおススメですね。鑑賞教室でもよく上演されます。
歌舞伎なら「寺子屋」はもちろん、かっこよく隈取をした勇壮な三つ子がそろう「車引き」も見応えがあります。
『義経千本桜』だったら、静御前と狐忠信が満開の桜の下で踊りながら旅をつづけていく「道行」というのも優雅でステキです。
勇壮な芝居を見たければ「碇知盛(いかりとももり)」がいいですね。
できれば、ポピュラーな作品を選んで見たいものですが、
でも、見たい時に見たい演目が上演されるとは限らないのが、悩ましいところなんです。
『仮名手本忠臣蔵』は、12月になると歌舞伎でも文楽でも上演されるので、見る機会は多くなります。
とにかく長いので、どこが上演されるかは年によって変わるかもしれません。
文楽初心者さんには、演目にこだわらず、まずは、肩の凝らない短めなものがいいと思います。
有名な「遅かりし由良之助」というセリフがある切腹の場面(四段目)とか、サイドストーリーの「お軽・勘平」、形が美しい「一力茶屋」などが出し物になっていたら、ラッキーです。
東京なら、12月の鑑賞教室か2月の三部制の時がいいですね。
大阪は6月の鑑賞教室、7月~8月の三部制ですね。
三部制や鑑賞教室教室ではなじみやすい演目が上演されます。機会があればぜひ気軽に劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。