【感想】2019年5月文楽公演『通し狂言 妹背山婦女庭訓(とおしきょうげん いもせやまおんなていきん)』東京・国立劇場

妹背山女庭訓第二部観てきました。

ぽー。すごい迫力でした。まだ現実に戻ってない感じです。

「女庭訓」っていうのは、昔の女の人のお手本となるような教えを書いた本だそうです。

女のたしなみっていうんでしょうかね。

通し狂言(とおしきょうげん)というのは、1本の作品を、人気のある部分の抜粋じゃなくて全て上演すること。

全部見ると10時間超えちゃうので、一部と二部で分けて上演されました。

が、

それでも5時間超。

ずっと客席にいるのでエコノミークラス症候群の危機。

演目は以下の通り。

ーーー

  • 第二部

三段目  妹山背山の段

四段目  杉酒屋の段

道行恋苧環

鱶七上使の段

姫戻りの段

金殿の段

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第二部で上演されたのは、三段目と四段目。

本当は五段目があるんですが、これはプログラムにあらすじだけ載ってました。

五段目があったらもう限界だったかも(^^;




国立文楽劇場開場35周年の目玉は三段目。両側からの掛け合い(清治・呂勢太夫vs富助・千歳太夫)

幕が開くと、舞台向かって右側の上手(かみて)には背山(せやま)の大判事家(だいはんじけ)の館、左側の下手(しもて)には、妹山(いもやま)の太宰家(だざいけ)。太宰家はお雛様が飾ってあって未亡人と姫に腰元がいて女の世界。大判事家は掛け軸ぐらいしかない対照的な舞台が設えられています。

両家の間を吉野川が流れていて頃は桃の節句、桜が満開。

文楽は、舞台に向かって右側の上手(かみて)に、三味線と太夫(たゆう)が座る床(ゆか)という回転式のステージがあります。

で、「妹山背山の段」は、左側の下手(しもて)にも仮床(仮設の床)があるのが特別。

仮設の床はクルっと回らないので歩いて登場。

三味線と太夫が両側から掛け合ったりしながら舞台が進行していくのが、この公演の目玉で、実力がつりあう2組の人材がそろってないと上演できない作品だそうです。

下手が妹山チームで三味線鶴澤清治(つるさわせいじ)、豊竹呂勢太夫(とよたけろせたゆう)、竹本織太夫(たけもとおりたゆう)。

上手が背山チームで三味線豊澤富助(とよざわとみすけ)、豊竹千歳太夫(とよたけちとせだゆう)、豊竹藤太夫(とよたけとうだゆう)。

それぞれ、情感たっぷりで美声で、三味線の音色が美しくて、夢のようでした。




「妹山背山の段」の雛流しは泣ける

雛鳥と久我之助がそれぞれ命を落としたあと、せめて最後は添い遂げてやりたいと、両家の親たちが考えます。

雛鳥の母親と腰元たちが、嫁入り道具代わりに飾ってあった雛道具を川に流し、それをいちいち久我之助の父親が川の両側で受け取っては、切腹して虫の息の久我之助の目の前に運んでいく。

最後は、雛鳥の首を船に見立てた琴に載せて運んで、久我之助の手の中に。

久我之助は雛鳥の首を抱きしめて、そこで父親が介錯して首を落とす。

父親は雛鳥と久我之助の首を両脇に抱えて男泣きする。

三味線だけでなく琴の音色が悲しみを誘い、かわいそうでボロボロ泣いてしまいました。

第四段はまた改めてー。





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