こんにちは。らら子です。
イタリアの作曲家エンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone, 1928年11月10日 – 2020年7月6日)氏の訃報が飛び込んできました。
大腿骨骨折のため6月末から入院中、容態が急変したと伝えられています。91歳でした。
心よりご冥福をお祈りいたします。
胸の奥に広がっていくような、心に染み入るような名曲の数々を音楽をありがとうございました。
目次
モリコーネ氏の名曲:らら子的お気に入りベスト3
ワタクシらら子がモリコーネ氏の曲で特に好きなのは、以下の3曲。
- 『ニュー・シネマ・パラダイス(Nuovo Cinema Paradiso)』~ 愛のテーマ(Love theme)
- 『海の上のピアニスト(The Legend of 1900)』~ 「愛を奏でて(Playing Love)」
- 『ミッション(The Mission)』~ メインテーマ(Gabriel’s Oboe)
曲を聞いただけで、映画のシーンとキューーンと切ない感情が沸き上がって着ます。なんでこんなにじんわりと心の奥底に染み入るんでしょうか。
美しいメロディとハーモニーに癒やされるだけでなく、「大切なものの記憶」が呼び覚まされるような、ザワザワとした気持ちにもなります。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のラストシーンも、『海の上のピアニスト(The Legend of 1900)』のピアノ対決も、モリコーネ氏の曲なしではあそこまで鮮烈に記憶に残らなかったのではと思います。
『ミッション』といえば、サラ・ブライトマンの「ネッラ・ファンタジア(Nella Fantasia)」も欠かせないですよね。その誕生秘話も調べましたので、のちほど。
そして、歌を初めて聞いたときに「メラ・ファンタジア」だと思っていたのは内緒です。「ネッラ・ファンタジア」でしたね^^;
モリコーネ氏の名曲の数々:マカロニウエスタンからオカルトまでこなす前半生キャリアは『武蔵』に続く
というようなわけでワタクシらら子は、どちらかというと癒やし系、美しいストリングスのハーモニーと優しいメロディラインのロマンチックな曲のイメージがありました。
なので、NHKで市川海老蔵(当時・市川新之助)さん主演の大河ドラマ『武蔵MUSASHI』(2003年)でモリコーネ氏が音楽を担当したときは、かなり意外に思えました。
だって未熟な武蔵が若気の至りで大暴れという話ですからね(←おおざっぱすぎ)。
でも改めて調べてみると、モリコーネ氏は1950年代のデビュー以来、長い長い作曲家人生で、本当に幅広いジャンルの名曲を生み出してきたのですね。
モリコーネ氏は1960年代にはマカロニ・ウェスタンで作曲家としてのキャリアを不動のものとしたんですね。
『荒野の用心棒( A Fistful of Dollars)』『夕日のガンマン(For a Few Dollars More)』『エクスタシー・オブ・ゴールド(ecstasy of Gold)』などで次々とヒット曲を飛ばします。
かと思えば、1970年代には、残酷描写の多い『ソドムの市』や『エクソシスト』なども作曲。『Mr.レディMr.マダム 』などのコメディ作品も。『遊星からの物体X』や『ミッション・トー・ザ・マース』などの異色作にも楽曲を提供。
エレキギターがガンガン入る激しい曲もあって、えーあれもモリコーネなの!?という驚きで一杯です。
このジャンルの幅の広さなら『武蔵MUSASHI』なんてすっぽりとそのキャリアに収まってしまいますね。
モリコーネ氏:アレンジの腕もピカイチ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『アマポーラ』
1980年代に入ると、エンニオ・モリコーネ氏は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(Once Upon A Time In America)』『ミッション(The Mission)』『アンタッチャブル(The Untouchables)』など、アメリカ映画で精力的に活動。
ワタクシらら子、このあたりになると、映画音楽と作曲者が一致してまいります。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(Once Upon A Time In America)』といえば、「デボラのテーマ(Deborah’s Theme)」。
甘いメロディに載せて、ぎこちなく交錯する不器用すぎる二人の切ない恋模様が、らら子の世代には胸キュンの青春映画です。
ところで、ワタクシらら子、この映画で流れている美しい曲『アマポーラ』もモリコーネ作曲だと思っていました。
が!この曲は、スペイン出身の作曲家ホセ・M.ラッカジェ(Jose Maria Lacalle Garcia)の作品なんですね。
これをモリコーネがストリングスやクラリネットを用いたいくつかの曲にアレンジし、デボラのテーマとの極上のマリアージュを生み出しということだそうです。
モリコーネ氏:『ミッション』のテーマ(原曲:『ガブリエルのオーボエ(Gabriel’s Oboe)とサラ・ブライトマン『ネッラ・ファンタジア』誕生秘話
『ミッション』のメインテーマの原曲は『ガブリエルのオーボエ(Gabriel’s Oboe)。文字通りオーボエで演奏される曲です。
後にイギリス人の歌手サラ・ブライトマン(Sarah Brightman)さんがイタリア語の歌詞をつけて、『ネッラ・ファンタジア』(Nella Fantasia, 「私の空想の中では」)という歌にしました。1998年のアルバム『エデン』収録に収められています。
サラ・ブライトマンさんが、この曲に歌詞をつけて「歌」にしたいとモリコーネ氏に許可を願い出たとき、最初はすげなく断わられたそうです。
あきらめきれずに2カ月ごとにお願いの手紙を書いて送り続け、モリコーネ氏も最後には折れたといいます。
ご存知の通り、『ネッラ・ファンタジア』は大ヒット。クラシックとポップスを融合したクラシカル・クロスオーバーの名曲となりました。
今もイル・ディーヴォ(IL DIVO)など多くのクラシカル・クロスオーバー歌手がカバーして、新たな曲の魅力を生み出しつづけています。
素晴らしい歌が世に送り出されることになって、本当によかったと思います。
モリコーネ氏:クレモアの病院屋上から横山令奈さんが奏でた『ミッション』『ニュー・シネマ・パラダイス』
2020年4月16日イタリアの新型コロナ感染集中の街クレモア。
現地在住の日本人バイオリニスト横山令奈さんが、病院屋上から奏でたバイオリンの音色が多くの人の心を癒やしました。
そのとき演奏されたのは、『ミッション』のテーマや『ニュー・シネマ・パラダイス』など。
つかの間、治療や看護の手を休めてバイオリンの音色に聴き入る医療従事者の方々の姿に、人のやさしさと音楽の力を感じ、自然と涙がこぼれてきました。
イタリアが誇る名作曲家のメロディは、日本人演奏家により、イタリア人だけでなく世界中の人の心にしみわたったことと思います。
先の見えないコロナ禍において、私自身も不安な時にモリコーネ氏の音楽を聴いて何度も救われました。
モリコーネさん、素晴らしい音楽をこの世に生み出してくださって本当にありがとうございました。
どうかゆっくりと安らかにお休みください。