こんにちは~。らら子です。
今回のNHK 『美の壺』は、「フォント」つまり字の形、タイポグラフィともいわれます。
フォントが変わると文や言葉の雰囲気ってガラッと変わりますよね。今日は個性的なフォントがたっぷり出てきます♡
番組で紹介されたスポットやお店をご紹介。
— ぶぶ (@imRLLXRlsIDhnyz) June 6, 2021
いざ、フォントが生み出す豊かな世界へ。
目次
美の壺:放送内容、出演者情報
【番組予告】
身の回りにあふれる文字の形、フォント。シンプルなものから、個性的なデザインのものまでさまざま。どのように作られ、選ばれているのか
本の表紙を文字だけで構成するブックデザイナー・水戸部功さんが、選び抜いたフォントとは?
▽明朝体にこだわり続ける書体デザイナー・藤田重信さんが生み出す、現代の明朝体とは?!
▽店の看板など、味わい深いフォントを集めて発信するプロジェクトとは?!
出典:番組公式ホームページ
【出演】草刈正雄 木村多江(語り・ナレーション)
宍戸美和公(女優),書体デザイナー…藤田重信,東京大学名誉教授・印刷博物館館長…樺山紘一,ブックデザイナー…水戸部功
美の壺:1つめのツボ「フォントは言葉のコスチューム」
東京・目黒 グラフィックデザイン/タイポグラフィの本の専門店
東京・目黒区。学芸大学駅近くの住宅街にあるグラフィックデザインの本を扱う書店が登場します。
店の名前はBOOK AND SONS(ブックアンドソンズ)。オーナーでウェブデザイナーの川田 修さんにお話をききます。
川田さんが自身の勉強のために集めたタイポグラフィの本は、和洋書 合わせておよそ1, 200冊だそうです。
フォントにまつわる川田さん取って置きの一冊は、活字愛のあふれた人たちの
エッセー集です。
西谷能雄ほか『活字礼賛』活字文化社,1991.
続いては 9人の書体デザイナーを取材したインタビュー集です。
雪朱里『文字をつくる 9人の書体デザイナー』誠文堂新光社 ,2010.
タイポグラフィについて語る川田さんの表情は、輝いていますね。字形の奥深さを感じます。
ブックデザイナー 水戸部 功(みとべ いさお)さん。
ブックデザイナー 水戸部 功(みとべ いさお)さんが登場します。
水戸部さんは厳選のフォントで、数々のベストセラーのデザインを手がけてきました。私もその美しい装丁には魅了されています。
スティーブ・ジョブズの下で広告ディレクターを務めていた著者が、シンプルとは何かを説いたビジネス哲学書『Think Simple』の和訳本の装丁が紹介されます。
水戸部さんがタイトルに選んだ書体はフルティガーという書体です。
原書”Think Simple: How Smart Leaders Defeat Complexity”はミリアドという書体。
水戸部さんは、ミリアド書体の小文字のiの上の点がひとつのデザインになってしまっていることがひっかかり、ご自身が「信用している書体」を選んだそうです。
フォントを信用するという表現が印象的です。
一方、昭和29年創刊の短歌の総合誌『短歌』の表紙のリニューアルを任された水戸部さんは、近代短歌にまつわる書体で構成しようと考え、与謝野晶子の「みだれ髪」を参考にしました。
明治34年に出版された「みだれ髪」は、編集を手がけた 与謝野鉄幹が、当時出来たばかりの築地体後期五号を使いました。
水戸部さんは「みだれ髪」と同じ書体を平仮名の部分に用い、中央を飾る「短歌」の文字は創刊号のタイトルを現代風に縦長にし、短歌の歴史への敬意と 原点回帰を
書体で表現しました。
色やイラストを使わずとも、文字だけで表現に無限の可能性が広がるんですね。
美の壺:2つめのツボ「機能と美を求めて」
明朝体 新しい時代の文字
東京・小石川のトッパン小石川本社ビルにある印刷博物館が登場します。
およそ1, 300年にも及ぶ世界中の印刷物を所蔵・展示しています。
お話をしてくださったのは印刷博物館館長の樺山紘一さん。
フォントでもっとも多く使われているのは明朝体。清の時代に編纂された 漢字字典『康煕字典(こうきじてん)』は、木版用の印刷書体として作られました。
この字典によって書体としてのルールが定まり、今も受け継がれています。
そのルールは
- 正方形の中に字を収める
- 縦線は太く 横線は細くする
- 終筆部に「鱗」と呼ばれ飾りをつける
明朝体が日本で広まったのは、明治初めです。中心となったのは長崎で通訳をしていた本木昌造(もとき しょうぞう)でした。
本木は、明朝体の漢字を基に、平仮名とカタカナの活字を生み出し、新しい時代の文字として普及していきます。
もとは漢字がやがて私達が使い慣れている平仮名やカタカナになるって、改めて考えると不思議です。
書体デザイナー 藤田重信(ふじた しげのぶ)さん
書体デザイナーの藤田重信(ふじた しげのぶ)さんが登場します。
藤田重信さんのフォントは、書籍をはじめ ポスターやCDジャケットなどさまざまなものに使われています。
藤田さんの代表作はFontworks(フォントワークス)「筑紫明朝」シリーズです。全部で13種類あります。
藤田さんは 書体を作る際、頭の中でイメージを作ってからパソコンに向かいます。今回紹介されたのは筑紫Bヴィンテージ明朝「ら」と「ゆ」。
理想の文字を求めて何十回もの試行錯誤を繰り返します。
漢字など合わせると、9, 000字から2万3, 000字。一つの書体を作るのに3年から5年の歳月がかかるそうです。
気の遠くなるような話ですが、藤田さんはフォントと語り合うようにどんどんイメージが膨らんで行くようですね。
美の壺:最後のツボ「文字が作る 街の景色」
下浜臨太郎(しもはま りんたろう)さん グラフィックデザイナー
店の看板など 個性的な文字を収集しているのはグラフィックデザイナーの下浜臨太郎さんです。
収集してきた文字をデザイナー仲間たちと共に50音のフォントにしていきます。これまで 16種類の文字を各地で収集し、フォント化してきました。
こうして出来たフォントはホームページ『のらもじ発見プロジェクト』で配信。利用者が寄付した場合、その金額は お店に還元される仕組みになっています。
今日訪ねたのは、東京・柴又のサン理容室の富田さん。
店名の サンの文字は冨田さん自ら 考案した書体で、二代目です。
文字を作る楽しさを知った冨田さんは2年間通信教育で レタリングを勉強し、幅広い年代の人に親しまれるこのサンの書体にたどりつきました。
看板文字は文章とはまた違った奥深さがあるんですね。
鈴木功(すずきいさお)さん タイプデザイナー
独自の書体で都市のアイデンティティーを築き上げようとしている人がいます。
金シャチフォントプロジェクの鈴木功(すずきいさお)さんです。
鈴木さんが生み出したのは、名古屋で一番有名な金シャチを モチーフにして、明朝体をベースにした名古屋の ご当地フォントです。
横線の書き出しはシャチホコの「反り」をイメージ。終筆部には 名古屋城の破風と屋根の先端の反りを反映させました。
ご当地フォントを作る時、鈴木さんはその街を とにかく歩き回ります。
ヒントを見つけたらすぐさまスケッチ。
名古屋市の市章の「丸八マーク」に、勢いと躍動感にあふれた新たなバージョンを作成。今ではさまざまなグッズにも使われ名古屋らしさを発信しています。
名古屋がなんで八?と思いましたが、調べてみたら、これは尾張徳川家が合印として使用した「〇に八の字」印に由来しているのだそうです。
横浜 ご当地フォント
横浜からも ご当地フォントが生み出されています。
タイプフェイスデザイナー・両見英世さんが開発した濱明朝体です、
は、横浜開港150周年を記念して2009年に開催された「イマジン・ヨコハマ」という市民参加のイベントに参加しました。
両見さんは濱明朝のコンセプトを「港の風景」に決め、伝統的な明朝体の形状をベースにしつつ、港町・横浜の景色を取り入れました。
横浜港に係留する氷川丸の船体の黒い部分は横線に生かされています。
みなとみらいのビル群はどっしりとした縦線に、大きな三角の鱗は横浜越しの富士山を。
街の個性が形になったこのフォントは 記念館の看板や馬車道商店街の旗などにも
使われ横浜を愛する人たちの間で広まっています。
美の壺:再放送・バックナンバー情報
美の壺・合わせて読みたい バックナンバー
NHK美の壺の【バックナンバー】をまとめてみました。
2019年以降の放送一覧のまとめはこちら。
美の壺・放送予定。再放送はいつ? NHKオンデマンド登録で見逃し視聴もできます。
今回の『美の壺』初回放送は2018年06月22日(金)でした。番組内容もこの時点のものです。
放送スケジュールは2020年4月現在で、
Eテレ「美の壺・選」の放送は、日曜日午後11時~、再放送は毎週木曜日午前11時~です。
BSプレミアム「美の壺」は毎週金曜日午後7時30分~、再放送は毎週土曜日午前6時45分~です。
BS4Kは、BSプレミアムと同じ毎週金曜 午後7時30分で、再放送は回数が増えて、
日曜日午前6時45分、月曜日午後4時00分、金曜日午前9時00~の3回あります。
キレイな画質のBS4Kは美の壺のような番組にはピッタリですね!
NHKオンデマンドなら月額の見逃し見放題パックや単品視聴ができます。月々500~600本の番組が放送当日または翌日から見られます。
最近では「ないエンタメがない」がキャッチコピーのU-NEXT(ユーネクスト)も話題ですね。最初の31日間は無料おためし期間だそうです。
【参考サイト】
番組公式ページ https://www.nhk.jp/p/tsubo/ts/3LWMJVY79P/
NHKオンデマンド https://www.nhk-ondemand.jp/
NHK クロニクル https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/
NHKの旧美の壺詳細サイト https://www.nhk.or.jp/tsubo/program/