感想:ボニーアンドクライド宝塚『BONNIE & CLYDE』御園座ボニクラ彩風咲奈&夢白あやトップコンビおひろめネタバレあり

こんにちは。らら子です。
宝塚雪組『BONNIE & CLYDE(ボニーアンドクライド)』御園座公演の感想です。今回は新トップコンビお披露目。彩風咲奈さんの相手役、夢白あやさんのトップ娘役デビューです。

彩風咲奈さんの安定した実力に、夢白あやさんのいい意味で宝塚らしくない女優魂がケミストリーを生んでいました。脇を固める人たちも若手に至るまで役を生きていて、いいカンパニーでした。

別箱公演の『海辺のストルーエンセ』とのメンバーのふりわけもよかったですね。雪組はどちらもすみずみまですばらしすぎです!

感想:ボニーアンドクライド宝塚『凍てついた明日』ブルースレクイエムのオマージュ

雪組でボニクラといえば、作・演出/荻田浩一『凍てついた明日-ボニー&クライドとの邂逅(かいこう)-』を思い出します。あちらの原作は映画の『俺たちに明日はない』。

今回のボニクラは、『Musical BONNIE&CLYDE』が原作。音楽は宝塚ではおなじみのフランク・ワイルドホーン氏。

潤色・演出/大野 拓史 先生なので、ちょっとおかたい感じになるのかなと思っていましたが^^;刹那的だけどどこか明るい、おしゃれな作品に仕上がっています。

冒頭に車上で銃撃を受けている(すでに死んでいる)二人が赤いライトで浮かび上がります。

トップの彩風咲奈さん(以下:さきちゃん)がクライド、夢白あやちゃん(以下:ゆめしろちゃん)がボニー、和希そらさんがクライドの兄で2番手役です。

嬉しいのは、フィナーレナンバーで『凍てついた明日』の主題歌「Blues Requiem(ブルースエクイエム)」が使われていること。

さきちゃんがソロで歌い、和希そらさんが歌い継ぎ、その歌でトップコンビが踊るという夢のような時間です。

「ブルースエクイエム」は『凍てついた明日』初演でジェレミー役の安蘭けいさんが歌ったのが鳥肌モノ。その歌を安蘭けいさんに憧れ続けた和希そらさんが歌うなんて、ファンならずとも心がふるえます。

しかも、『凍てついた明日』は1998年の再演で、さきちゃん入団2年目で出演しているんですね。みなさん思い入れがいろいろと深いだろうと思います。

粋な計らい、大野先生ありがとうございます。

感想:ボニーアンドクライド宝塚:おしゃれなトップコンビとナンバープレートあや&さきな?

ゆめしろちゃんは、いい意味で宝塚らしくない娘役。ちょっとお魚系のお顔立ちがどうかなと思っていましたがメイク映えするので、役柄が変わるたびに一瞬だれだっけ?と思うのが新鮮(ほめてます)。

今回すっかりファンになってしまいました。

舞台度胸、スタイルの良さ、スキルの高さはわかっていましたが、無色透明で何の役にでも入れ込めるのがすごい。

心中恋の大和路のメンヘラ遊女(語彙)もすごかったですが、今回はブロードウェイ女優っぽいかっこよさはほれぼれします。

下着姿でゴロゴロ横たわってるシーンとか、ぞくぞくしちゃう。

トップコンビ二人の並びもスタイル抜群で美しいですよね。和モノより洋モノがいいかな。きらきらデュエットダンスも眼福です。

これから、さきちゃんの斜め上を行く大芝居(ほめてます)との化学反応が楽しみです。

ボニーとクライドは、実年齢は死亡時に23歳と25歳。

ボニーの奔放さやママを大事に思うところが、ゆめしろちゃんのフレッシュさと違和感なく合ってる。

さきちゃんは今までもやんちゃな若者役が多かったので、こうした役はお手の物ですね。下級生時代を思い出して、ちょっと懐かしい。

女優として詩人として歌手、将来を夢見るボニーは名声がほしい。「ボニーアンドクライド」と呼ばれてご満悦。

「クライドアンドボニー」か「ボニーアンドクライド」かで二人がもめるところは、ほほえましく面白いシーン。

これがワタクシには新しいカタチの娘役像を思い描かせます。トップスターに寄り添うんじゃなくて、役者として対等な感じ。

もしかしたら「あや&さき」もありかもね。

そういえば車のナンバープレートが「TKRZK A8・SAK17」(宝塚 あや・さきな)でした。

感想:ボニーアンドクライド宝塚:和希そらバック兄貴

クライドの兄役バックの和希そらさんも、やんちゃな兄ちゃんやらせたら右に出るものがいない。

バックは弟クライド大好き。クライドが兄ちゃんのヒーロー。クライドのためなら何だってやってあげたい。

和希そらさんが小柄なのがまたいい感じなんですよ。少年時代にクライドが自転車泥棒をしたときに、警官を止めて「行け!」といって送り出す。おとなになってもずっとそう。クライドに夢を託している。

一緒に刑務所に入り、一緒に脱獄し、新聞の報道を見て喜ぶいかれたチンピラな二人。

でも、バックはおかたい妻ブランチにも感謝している。ブランチに諭されれば自首して刑務所にも戻る。両親も大事にしている。

でも、クライドが困っていると聞けば、反対を押し切って駆けつける。

強盗を繰り返すたびに武器も車も服装もよくなっていく。カメラを手にふざけた記念撮影をしたり、ライフルをなでまわして喜んだり。

スーツをビシッと着こなして最高にかっこいい二人。

アジトを襲撃され、大けがをするバック。自分をおいて逃げろクライドに言う。最後までおにいちゃん。

ブランチの腕に抱かれながら「こんなはずじゃなかった……。二人で新しく生活をはじめたかった。」ってつぶやくところは涙腺決壊します。

そらさん死に方うまい。

フィナーレは、和希そらさんが娘役をひきつれて登場。群舞+トップコンビのダンスの後ろで和希そらさんが激しいダンスを踊る場面もあり、そらファンにはかなり嬉しい構成です。

雪組ってこんなに踊れるんだっけ?と思うほど下級生もよく踊っているのは和希さんの影響でしょうかね。

感想:ボニーアンドクライド宝塚:野々花ひまり、久城あす、希良々うみ

今回、2番手娘役の野々花ひまりちゃん。別格娘役が板についてきた感じですが、今回は別格娘役スキルをいかんなく発揮しています。

ひまりちゃんは、バックの妻ブランシュ。史実では牧師の娘で、最終的に犯罪グループに入り逮捕されます。

ブランシュは美容師。バックは文字通り髪結いの亭主なんですね。バックを更生させようとバックに近づいた。けど、今はバックを深く愛してしまっているので、悩みがつきない。

信心深く真面目。平凡な生活を望んでいて、派手なボニーとは折り合いが悪い……というところが、ひまりちゃんにとてもハマってます。

ひまりちゃんとゆめしろちゃんの二重唱の場面もけっこうあって、迫力がある。若いトップ娘役を支えて相乗効果が期待できそう。

長くいてほしい。

そして、久城あすくん。パプテスト派の牧師。ときどき唐突に舞台上に現れてスポットライトを浴びながら正しい道をソロで歌います。

信仰も歌も現実を何も改善しない。あすくんの美しい歌声と美しい笑顔が、その虚しさをきわだたせます。

2012年に青山劇場で公演されたときは牧師役つのだひろさんだったんですね。

希良々うみちゃんも、要所要所で引き締めてくれます。別格娘役路線まっしぐらと思いますが、これからますます楽しみ。

感想:ボニーアンドクライド宝塚:咲城けい、華世京、眞ノ宮るい、ベテラン勢

今回バク上げなのが、102期の咲城けいくん(以下:さんちゃん)と106期の華世京くん。華世京くんはクライドの子分の少年ハリー役。とにかくクライドにくっついてよく出てくる。

2人とも劇団が急いで育てている感じがしますねー。

さんちゃんはボニーに恋心を抱く幼なじみで優等生の保安官テッド・ヒントン。ボニーへの想いがつのるほど、報われない愛がクライドへ向ける憎しみに変化していきます。

おだやかで正義感にあふれるテッドが、どんどん狂気的になっていくところがよく演じられています。もう少しお歌がんばってほしい。

さんちゃんの割を食った感があるのが、警官の眞ノ宮るいくん(以下:はいちゃん)。クライドが犯す最初の殺人の犠牲者になります。

はいちゃんは演技が細かくて、オペラグラスで覗いていると他のセリフに合わせてくるくると表情が変わっていきます。はいちゃんがテッド役だったら面白かっただろうなと、ふと思ってしまいます。

透真かずきさん(保安官のボス)、桜路薫さん(特別捜査官)、杏野このみさん(ボニー母)たちベテラン勢も公演。この層の厚さが雪組の魅力ですね。

ボニーもクライドも親思い。親のみなさんも信心深い。クライドの父は、息子たちを愛していて犯罪から足を洗ってほしいと思いつつ、息子からのお金は受け取っちゃう。

貧乏はやはりつらい。

父役の天月翼さん、母役の沙羅あんなさん、言葉少なくその切なさがよく現れていて、舞台に深みが増します。

ワタクシは2日目に拝見しましたが、平日のせいか空席がポツポツ。とてもよい作品なのでたくさん見て欲しいと思います。

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