こんにちは~。らら子です。
今回のNHK 『美の壺』スペシャルは、「和楽器」。
和楽器の音色は虫の声みたいですね。和楽器の演奏もたっぷり出てきます♡
番組で紹介されたスポットやお店をご紹介。
いざ、ジャパニーズ・サウンドへ。
https://twitter.com/nhk_bijutsu/status/1673997440846909448
目次
美の壺:放送内容、出演者情報
【番組予告】
江戸創業の和太鼓工房・太鼓の内側に施す職人技とは▽世界的な和太鼓奏者・林英哲さんが独奏▽能の始まりを告げる能管の秘密▽大ヒット曲「紅蓮華」を和楽器で演奏!▽雑音も音色に!世界を魅了する尺八の魅力を大解剖▽アメリカ人尺八奏者の尺八づくりに密着▽津軽の自然に育まれた津軽三味線・魂の響き▽世界最古のオーケストラ「雅楽」に宿る和の心▽人間国宝・大蔵源次郎さんの小鼓の演奏は必見!▽小鼓作りに木地師が挑戦!
出典:番組公式ホームページ
【ゲスト】謎の清元師範…尾上右近 和太鼓製造十八代目…浅野恭央 和太鼓奏者…林英哲
尺八奏者…ジョン海山ネプチューン 能管・篠笛奏者…山田路子 和楽器ユニット…Aun J Classic Orchestra 寄席三味線奏者…大川貴子 津軽三味線奏者…吉田良一郎 落語家…桂よね吉 落語家…桂吉弥 和楽器ユニット…WASABI 雅楽師…東儀秀樹 雅亮会副理事長…小野真龍 天王寺楽所…雅亮会 ギャラリー代表…青野惠子 能楽小鼓方…大倉源次郎 木地師…西端良雄
【出演】草刈正雄 木村多江(語り・ナレーション)
1つ目のツボ 「繊細な技が生む豪快な響き」
美の壺:浅野 恭央(あさの やすお)さん 和太鼓製造18代目 石川県白山市
日本の祭りに欠かせない和太鼓は、私たちの気持ちを高揚させてくます。
石川県白山市の(株)浅野太鼓楽器店は、創業414年になります。
工房では、さまざまな大きさや種類の太鼓を全工程一貫して作っています。大木は、古くより神聖な神が宿ると考えられ、和太鼓は、神に祈りを捧げる神聖なものでした。
工房では、原木の一木作りで太鼓の胴を作ります。
響きを良くするため中央に丸みをつけて、うすく仕上げた後、3年から5年、倉庫でゆっくり乾燥させます。乾燥後、胴部の表を磨き、内部は細かく細工を施します。
きれいな細工ですね。伝統の技なのでしょうね。
反響する面を増やすことで音の反響が複雑になり深い音になるそうです。完成した胴に牛の皮を張りできあがりです。
18代目で代表の浅野恭央さんは、太鼓作りの中で、木の乾燥が一番難しいと言います。
急に乾燥させると胴が割れたり、変色したりするそうです。
また、昔と今では気温の変化もあり、特に夏は注意をしているそうです。
8年ぶりくらいに浅野太鼓さんにお伺いしました!
今ならガッツリ太め立平笛ありました笑 pic.twitter.com/C0nvBT1UcO— 水落立平(篠笛の人) (@fueshi_rippei) March 20, 2023
(水落立平(篠笛の人)@fueshi_rippeiさん、アップありがとうございます。)
美の壺:田中 真樹さん 岸和田市西之内町青年団
浅野さんの工房に大阪の岸和田から来客がありました。
岸和田のまつりといえば「だんじり」です。だんじりとは、地車と呼ばれる山車を曳き、地車囃子を奉納するまつりです。
まつり囃子のことを岸和田では鳴り物と呼んでいます。楽器は、篠笛、舞台柱に取り付けられた小太鼓、鉦(しょう)、大太鼓で構成されています。
大太鼓は、山車腰回りの内部に綱で吊るされています。
和太鼓は、祭りには、なくてはならない大切なもので、今回、だんじりで使う太鼓の再調整に訪れました。何度も試し打ちをします。好みの音を探りつつ、皮の張り具合を考えます。
岸和田市西之内町青年団の令和五年鳴物責任者の田中真樹さんがお話してくださいました。
これから何十年、何百年と語り継がれる大切な太鼓なので地域の人たちの耳に残る太鼓をつくりあげたいそうです。
選ぶのも大変ですね。
浅野さんは、たくさんの人が鳴らせてひとつのものをつくりあげることが和太鼓の魅力的だと語って下さいました。
https://twitter.com/keiAYA225/status/1165209035458543618
(けぃ@夢烏とあんズ@keiAYA225さん、アップありがとうございます。)
美の壺:林 英哲(はやし えいてつ)さん 和太鼓奏者 神奈川県小田原市
林哲英さんは、日本を代表する和太鼓奏者で海外でも高い評価を受けています。
林さんは、今までにない技をあみ出し、和太鼓を舞台芸術にまで押し上げました。
元々、和太鼓は、祭りなどの伴奏役に過ぎない存在でした。祭りなどでの楽しい打ち方ではない、舞台芸での打ち方を考えました。
太鼓に体を近づけ、腕の位置を高くして大きい振りでおもいっきりバチをたたきます。迫力ありますね。打つ場所も所々変えて、音色や音程感が違って聞こえるように工夫をしました。
2000年、林さんは、ドイツベルリン・フィルとの共演を果たしました。林さんによると、海外公演で演奏すると誰か必ず泣く人がいるそうです。
それは、太鼓の音が、胎児のお腹の中で聞いているお母さんの心臓の音のように感じ、懐かしいような感情がよみがえって涙が出るのだそうです。
林さん作曲による独奏「宴」を披露いただきました。祝祭的な祈りを天地に届けられるように思いを込めた曲で、歌声も挿入されています。
心臓の鼓動のような心の叫びを感じる音色ですね。心に響くパフォーマンスでした。
https://twitter.com/KosukeTsunoda/status/1620782428133687298
(角田鋼亮@KosukeTsunodaさん、アップありがとうございます。)
2つ目のツボ 「単純さが吹き手を解き放つ」
美の壺:山田 路子(やまだ みちこ)さん 能管・篠笛奏者
「能管」は、能のはじまりを告げる横笛です。
静まるような凛とした音色ですね。能管・篠笛奏者の山田路子さんに能管の特徴をおたずねしました。
能管は、独奏楽器で幽玄さや音階とは違った音色になっているそうで、オクターブの音が取れない、音程が不思議な音階になっています。
能楽では、太鼓などの打楽器と能管のみです。合奏することもなく、独持の音程でよいそうです。
一方、同じ横笛でも「篠笛」は、音程が調整されています。他の合奏もできて、民謡や祭り囃子には欠かせない笛です。曲により笛を使い分けています。
高さによって調子が違うため合奏するには10本以上の笛を持たなくてはならないそうです。
山田さんのお持ちの笛を拝見しました。
素敵な笛ばかりですね。
区別をするため数字を記しています。なんと山田さんは、200本の笛を持っているそうです。
使い分けが大変ですね。
https://twitter.com/MORI__NOTE/status/1505856362311417856
(もり・のおと@MORI__NOTEさん、アップありがとうございます。)
美の壺:AUN J-CLASSIC ORCHESTRA(アウン ジェイ クラシック オーケストラ)
笛は、竹に穴をあけた素朴な楽器です。演奏者の腕と工夫で音を操っています。
山田さんの指さばきをみていると、フルートなどとは違っています。指先でおさえて吹くのではなく、節でおさえています。吹きながら激しく指を動かします。
息継ぎがむつかしそうですね。
山田さんは、笛の可能性を広げるため「AUN J-CLASSIC ORCHESTRA(アウン ジェイ クラシック オーケストラ)」の活動に参加しています。
AUN J-CLASSIC ORCHESTRAは、和楽器だけのユニットで山田路子さんのパートは、「管楽器(吹きもの)」です。
「紅蓮華(ぐれんげ)」を披露していただきました。
人気アニメ『鬼滅の刃』でも有名ですね。いろんな和楽器とのハーモニーが素敵です。
AUN J(アウンジェイ)クラシックオーケストラさんの川崎フリーライブ、凄い凄いめっちゃくちゃ楽しかったー!!(*≧∀≦*)
フリーなんて、とっても贅沢!ありがとうございました!!
いやもう本当楽しくて、のりのりになってたら、暑くなってました!!
O(≧∇≦)#AUNJ pic.twitter.com/OI47kke9gt— kadu (@kadusand) January 6, 2018
(kadu@kadusandさん、アップありがとうございます。)
美の壺:ジョン・海山(かいざん)・ネプチューン さん 尺八奏者
尺八は、一尺八寸、55センチが基本の長さで、真竹でできています。
中国・唐が起源の和楽器です。江戸時代、禅宗の僧・虚無僧が修行で吹く楽器として庶民に親しまれていました。
尺八は、息づかいやかすれ、雑音まで表現に取り込みます。
尺八奏者のジョン・海山・ネプチューンさんは、カリフォルニアで生まれ、ハワイ大学で民族音楽を専攻し尺八に出会いました。
初めてネプチューンさんが、尺八の音を聴いたとき、嵐のような音色だと独特な音色に驚きました。
1973年、日本に訪れ、尺八都山(とざん)流の三好荒山(みよしこうざん)さんに弟子入りをして師範免許と「海山(かいざん)」という号を授かりました。
ネプチューンさんは、尺八の姿にもほれ込みました。自然の竹でできていて、同じものはないからです。
ジョンは竹の音色の渋みや深みを追求し
尺八製作者としても評価されるカリフォルニア生まれの尺八師範
ジョン海山ネプチューン彼の人生や哲学、そして音楽の魅力とは…
ドキュメンタリー映画
「海山 たけのおと」配信中!https://t.co/w7SFL191e2 pic.twitter.com/rbeEGTokYm— アジアンドキュメンタリーズ (@asiandocs_tokyo) June 26, 2023
(アジアンドキュメンタリーズ@asiandocs_tokyoさん、アップありがとうございます。)
美の壺:故郷に尺八をのせて 千葉県鴨川市
ネプチューンさんは、自分で尺八も作ります。
裏山で真竹を探し、尺八になる竹を見つけました。根元から竹を掘り起こして尺八の長さを決めます。
基本は一尺八寸ですが、今回は二尺一寸を尺八の長さにしました。
油を抜き、泥を落し、根を整え乾燥させます。乾燥させるのに3年程度かかるそうです。
ネプチューンさんの作業場には、尺八になるのを待っている竹がたくさん保管されています。菅尻に穴をあけて節をぬいて尺八は完成しました。
ネプチューンさんは、作曲家としても活動していて、今までに20曲を発表しています。
ネプチューンが住む愛する鴨川を舞台に自然の美しさ、暮らしの楽しさを曲にした「Kamogawa(かもがわ)」を演奏していただきました。
鴨川に伝わる民謡の音階をヒントに得て作りました。リズミカルで踊る心を感じます。
https://twitter.com/sakihagi/status/1367474106413715456
(さき@sakihagiさん、アップありがとうございます。)
美の壺:3つ目のツボ「弦の響きが感情を呼びさます」
美の壺:「WASABI (わさび)」和楽器ユニット
和楽器ユニットWASABI(わさび)が登場します。
津軽三味線奏者で「吉田兄弟」の兄・吉田良一郎さんが、中心となって結成しました。
メンバー構成は以下の通りです。
- 管弦楽の「吹きもの」は、尺八の元永拓さん
- 打楽器の「打ちもの」は、太鼓・鳴り物の美鵬直三郎さん
- 弦楽器「弾きもの」は、箏・十七弦の市川慎さんと津軽三味線の吉田良一郎さん
『AZUMA』をご披露いただきました。伝統的な楽器の演奏なのに新しさを感じる曲です。
2012年、デビューアルバム『WASABI』を発表、聞き手に楽しんもらえる音楽を目指し活動しています。
名前の由来は、「WA」=和、「SABI」=サビ(盛り上がり)という意味からきているそうです。
香り豊かでツーンと来るスパイス感のある迫力といったとこでしょうか?
新しい和楽器の世界が広がりますね。
https://twitter.com/minyo_nichimin/status/1664492310888087552
(公益財団法人 日本民謡協会@minyo_nichiminさん、アップありがとうございます。)
美の壺:吉田 良一郎さん 津軽三味線奏者
和楽器の中でも三味線は、庶民の楽器として親しまれてきました。
三味線は、全国に伝わり、各地の芸事に合わせて少しずつ違います。三味線について吉田さんにご解説いただきました。
長唄などに使われている長唄三味線は、細棹(ほそさお)で雅な音色を奏でます。一方、津軽三味線は、太棹(ふとさお)とも呼ばれ、棹や胴が大きく弦も太く、大きな音が響きます。
太棹といえば、ワタクシの好きな文楽の三味線も太棹です。
弦を弾くというよりは、たたく印象です。
元々、津軽三味線は、盲目の人が玄関先で演奏してお金やお米をもらうための芸が始まりだったため、雨風に強く、外から演奏しても家の中まで響く音に工夫されたそうです。
吉田さんに津軽三味線の代表曲「津軽じょんがら節」を演奏していただきました。津軽の厳しい雪や桜景色が聞こえてきそうで心に響きます。
吉田さんの素早いバチさばきが圧巻でした。
「ガチ! インタビュー」ニューヨークで3年ぶりにライブを行った吉田兄弟が世界に打って出る! #ニューヨーク #吉田兄弟 #津軽三味線 #MIFUNE #ライブ #三味線 #吉田健一 #吉田良一郎 #NARUTO #文化交流使 pic.twitter.com/lfTE2BR66p
— ニューヨーク・ビズ (@NY_Biz) November 12, 2015
(ニューヨーク・ビズ@NY_Bizさん、アップありがとうございます。)
美の壺:桂 吉弥(かつら きちや)さん 落語家 大川貴子さん 寄席三味線奏者 大阪
大衆演芸の町「大阪」でも和楽器が活躍しています。
寄席では、桂吉弥さんの古典落語「たちきり(たちぎれ線香)」が上演され、悲恋の恋のクライマックスの場面で寄席囃子の演出がされています。
寄席囃子(よせばやし)は、上方落語ならではの演出です。
落語家の所作やはなしにそって唄や太鼓、三味線が用いられます。三味線を弾くのは、寄席三味線奏者の大川貴子さんです。
あ・うんの呼吸で、噺の中にピッタリと入ってきます。
落語家の桂吉弥さんによると、落語家もお囃子(おはやし)も一緒に存在しているそうです。
若き落語家が、三味線のお師匠さんに育ててもらっているんですね。桂吉弥さんは、これからも大川さんにご指導いただきたいと、信頼は絶大のようです。
大川さんは、東京の歌舞伎の劇団「前進座」出身の女優さんで、劇団にいたときに三味線に目覚めました。寄席三味線を弾いて四半世紀が経ちます。
大川さんは、寄席囃子(よせばやし)は、特等席で見られて性に合っていると言います。黒子のような気持ちで弾いているそうです。
元 前進座の舞台女優の大川貴子さんが「いせまる」という名前で、朗読会をされます。南光・米團治も面白いモノを読みあげます。怖い話もあります。お待ちしてます。お問い合わせは米朝事務所まで。 pic.twitter.com/WyMeuNXh9L
— サザンライト南光 (@nan1208nan) August 11, 2020
(サザンライト南光@nan1208nanさん、アップありがとうございます。)
美の壺:桂 よね吉さん 桂 壱弥さん 桂 しん吉さん 桂 慶治朗さん 落語家 大阪・北区 新世界
大川貴子さんは、お呼びがかかると寄席へ出向かいます。
今日の舞台は道楽亭(どうらくてい)です。名前が粋ですね。
道楽亭は、毎月1日から20日まで落語の定席を開催しています。
寄席囃子(よせばやし)は、大川さん以外のお囃子(はやし)は、落語家のみなさんがつとめます。太鼓が桂弥壱さん、笛は、桂しん吉さん、桂慶次朗さんといった具合です。
本日の演目は桂よね吉さんによる「蛸芝居(たこしばい)」です。
芝居好きの商家で登場人物が、事あるごとに歌舞伎のマネをします。最後は、買った蛸までが歌舞伎のマネをするという内容。寄席ばやしがふんだんに入った噺です。
打合せが始まりました。演者のよね吉さんから大川さんへ注文やリクエストが入ります。
同じ噺(はなし)でも間やテンポが落語家さんによって違うので、慣れるまでされるそうです。
一緒に作る楽しみと責任感を感じるそうです。
上方落語の始まりは、屋外でした。人の目を止めるための工夫が寄席ばやしだったそうです。
三味線は暮らしの中に密着した楽器だったのですね。
昨日の三味線は大川貴子さんでした
やっぱり そうかなぁと思ったわ pic.twitter.com/FViCqwKDGH— Junichi Wada (@wanda_j11) May 7, 2023
(Junichi Wada@wanda_j11さん、アップありがとうございます。)
美の壺:4つ目のツボ「悠久の音色に込めた和の思い」
美の壺:小野 眞龍(おの しんりゅう)さん 天王寺楽所雅壱会副理事長 天王寺楽所雅亮会
大阪・四天王寺は、日本で最初の本格的寺院のひとつです。建立に聖徳太子が関わっていた事もあり信仰の対象になっています。
昨年は、没後1400年で法要が行われ雅楽の奉納がされました。
雅楽は、大陸から伝わった音楽や楽器が独持に発展を遂げ平安時代に現在の形式になりました。
平安時代から現在までどうやって演奏を受け継いできたのか天王寺学所雅亮会の小野眞龍さんにお尋ねすると、師匠から弟子への口伝で行うそうです。
「越天楽(えてんらく)」の稽古を拝見しました。
まず、先生が歌い弟子が真似て歌います。龍笛の稽古も同じく師が吹くのを弟子が見て真似ます。小野さんに譜面を見せていただきました。
音符も五線譜もなく、たて書きで文字が書かれているだけです。唱歌を師に教わるしか、解読ができません。
雅楽は世界最古のオーケストラだと言われています。
管楽器、打楽器、弦楽器それぞれが口伝で教わってきました。指揮者はいません。それぞれの楽器が主導権をとります。
間合いを送り合うことで合奏を成り立たせています。
あ・うんの呼吸ですね。
https://twitter.com/onoonomakoto/status/1668781472629817344
(Shinryu Ono@onoonomakotoさん、アップありがとうございます。)
美の壺:東儀 秀樹(とうぎ ひでき)さん 雅楽師 奈良県橿原市
奈良県橿原神宮では、初代天皇・神武天皇が祀られています。
新嘗祭(にいなめさい)では国風歌舞(くにぶりうたまい)のひとつ久米舞が奉納されます。
国が栄えるようにと願いがこめられています。国風歌舞では、日本古来の独自の楽器、和琴(わごん)が使われています。
雅楽師の東儀秀樹さんにうかがいました。
和琴は日本最古の和楽器。起源については不確かです。
天石窟(あめのいわや)前で、弓を六本ならべて音を出したという古事記の伝説から転じたと考えられているそうです。
私たちの知っている箏と大きく違うのは、弦が6本しかないことです。古墳などの出土のもので琴を弾く埴輪は、和琴と同じ6本だそうです。
そして和琴は、奏法も特徴があります。
べっ甲でできたピックのような「琴さぎ」で弾きます。琴柱(ことじ)は、楓の木の枝をそのまま切って利用しています。
東儀さんによると、自然のものを用いて音を出すことで神様にも伝わりやすかったのでは考えています。
この他、日本独自の楽器として、神楽笛(かぐらふえ)、笏拍子(しゃくびょうし)もご紹介くださいました。
雨が降っていましたが、
周囲が白いベールに包まれた中、雨音と協奏するように響く楽の音、
和琴の独奏や独唱はとくに印象に残りました。晴れの日に参列したら
まったく感じ方が違うのかな。#久米舞 #橿原神宮 pic.twitter.com/94vxlSY3iC— ゆり | 奈良で文化財を学ぶ2023 (@yurars_jp) November 24, 2022
(ゆり | 奈良で文化財を学ぶ2023@yurars_jpさん、アップありがとうございます。)
美の壺:5つ目のツボ「かけがえのない音を未来へ」
美の壺:大倉 源次郎さん 能楽 囃子方 大倉流小鼓方十六世宗家(人間国宝)
能楽は、現存する最古の舞台芸術です。
重要無形文化財でありユネスコ無形文化財にも登録されています。能楽になくてはならない和楽器が小鼓(こつづみ)です。
本体の部分の「鼓胴(こどう)」と音を調整する「調べ緒(しらべお)」、両面に張られている「革」で構成されています。
こんな風に組み立てるのですね。
大倉源次郎さんにお話を伺いました。能楽 囃子方 大倉流小鼓方十六世宗家で人間国宝です。
大倉源次郎さんによると、「鼓舞する」といういう言葉は、小鼓からきているそうです。人々の心を高揚させてエネルギーを与える意味です。
小鼓は、猿楽や田楽と呼ばれる農民発祥の民族芸能と深いつながりがあります。つらい田植えの農作業も「鼓の音で楽しく」という思いから始まったそうです。
なるほど。だからあのようにきらびやかでにぎにぎしいのですね。
大倉さんの小鼓を見せていただきました。室町時代から江戸時代のもので金蒔絵が施されています。どれも貴重なものです。
大倉さんは、小鼓のすそ野を広げるため小鼓の演奏の指導も行っています。
【小鼓奏者・大倉源次郎がTikTokに見出す能楽継承の可能性】https://t.co/fPwaXWzww2
文化芸術支援に力を入れる「TikTok」。現在進行中である能楽の魅力を発信するプロジェクトについて、囃子方で人間国宝の小鼓奏者・大倉源次郎と、TikTok Japanの公共政策マネージャー・金子陽子に話を伺いました。 pic.twitter.com/6AI0lVITK7
— 美術手帖 ウェブ版 (@bijutsutecho_) December 23, 2022
(美術手帖 ウェブ版@bijutsutecho_さん、アップありがとうございます。)
美の壺:青野 恵子さん ギャラリーオーナー 東京・銀座
東京・銀座の「銀座一穂堂ギャラリー」では、月に1度小鼓の教室を開催しています。
主催者はギャラリーのオーナーの青野恵子さんです。
小鼓教室に来られている生徒さんの熱心さが伝わりますね。
青野さんのギャラリーは、日本美術工芸専門のギャラリーです。日本の文化度を1センチでも上げて、若者たちへ日本の文化をバトンタッチすることを使命にしているそうです。
青野さんは、幼い頃より数多く日本文化の習い事をされました。
しかし、習うことでは飽き足らず、職人技を尊敬するようになり作品を買い求めギャラリーを経営することになったそうです。
そんな青野さんが、後継者不足で小鼓の技術が絶えることを危惧して立ち上がりました。
それは、青野さんら大人の世代が、ものづくりを大切にしなかった反省の思いを込めてのことだそうです。
今、青野さんは、400年以上前の名器に負けない小鼓を送り出そうと挑戦しています。
銀座 一穂堂ギャラリー 池田晃将の螺鈿展 pic.twitter.com/DVdhKW0Swa
— 勝ち虫 (@kachimushi67) July 16, 2021
(勝ち虫@kachimushi67さん、アップありがとうございます。)
美の壺:西端 良雄さん 木地師 石川県輪島市
石川県輪島市の木地師の西端良雄さんが登場します。
西端良雄さんは、伝統の名器に負けない小鼓つくりを試みています。
日本伝統工芸展入選9回の日本の名工です。木地師は、木のかたまりから椀などをつくる職人技です。
西端さんが作るのは、小鼓の鼓胴の部分です。
最初作った時は、意外と簡単だと思ったそうです。
しかし、大倉源次郎さんがたたいてみると、音は鳴るが能楽堂では無理だと、きびしい判断を下されました。
以来、15年、挑戦を続けています。西端さんは、作業工程を見直し、カンナ類の道具も手直しをしました。
特に胴の内部構造が細く複雑にできています。木材は山桜を使いますが、同じ山桜でも差があり、木のかたさと内部構造がかみ合ったときに鳴るようです。
西端さんは、仕上げた胴に漆をしみこませました。
現代の木で鳴るための工夫です。西端さんにとって古い小鼓に負けないものを作るのは大きな意味があるのだそうです。
再現させるのは、大変な苦労ですね。
2021年10月23日,木地師の西端良雄さんの工房をお客様と共に訪問しました。道具や木地の乾燥についてもお聞きしました。作品で驚いたのが透かし香炉と宝珠形合子。箱根の本間美術館にマトリョーシカの原型の七福神人形があるそうです。On the 23th Oct. 2021 we visited Mr. Yoshio Nishihata's studio. pic.twitter.com/flqrkZSnn2
— 塩多 朋子 SHIODA, Tomoko (@TomokoShioda) December 1, 2021
(塩多 朋子 SHIODA, Tomoko@TomokoShiodaさん、アップありがとうございます。)
美の壺:談山(たんざん)神社 奈良県桜井市多武峰(とうのみね)
奈良県多武峰の談山神社は、芸能のふるさとと呼ばれます。
室町時代、談山神社は、能狂言の中心地で鼓の音が響き渡っていたそうです。多くの能楽師が訪れ参詣しました。
大倉源次郎さんは、能楽を奉納するため談山神社を訪れました。そして、同時に西端さんが鼓胴の試し打ちの依頼に訪れました。
試し打ちの地を談山神社に指定したのは、鼓の出来栄えがわかるからだそうです。西端さんの小鼓が山に響き、こだまになって戻ってきました。
いい音ですね。
西端さんの鼓で『男舞』を演奏しました。大倉さんは西端さんについて「本当にありがたい」とおっしゃっています。
いわば異業種の木地師の方が、ここまでコツコツと続けて古い鼓と互角かそれ以上のものを現代に作ってもらえたと、感謝しています。
談山神社は、谷々に音が響く自然のシンフォニーホールです。
大倉さんは、400年前の鼓と現代の鼓がつながり日本の文化が継承されることを感じてもらえれたと思い、能楽の奉納をしました。
人と人をつなぐ和楽器、素敵ですね。
https://twitter.com/graczsolo_muna/status/1674819195299840000
(.@graczsolo_munaさん、アップありがとうございます。)
美の壺:ゲスト 尾上 右近(おのえうこん)さん 歌舞伎俳優
今回の美の壺スペシャルゲストは、人気若手歌舞伎俳優の尾上右近さんです。
謎の清元師範として登場します。
草刈さんの祖父が、返しそびれた三味線を受け取りにあの世からやってきました。
ケンケンの愛称でも親しまれている尾上右近さんは、1992年生まれ。江戸浄瑠璃清元節宗家・七代目清元延寿太夫の次男として生まれました。
曾祖父が名優の六代目尾上菊五郎さんという血筋で、2005年に二代目尾上右近を襲名。
歌舞伎役者を続けながら、清元の浄瑠璃方としても活動。2018年に父親の前名である栄寿太夫の七代目を襲名しました。
『美の壺』では三味線引きとしてもデビューしてしまいました(^^)/
#清元雄二朗 さんのお力を借りて、なんと!この度三味線弾きデビュー!?ええっ『#美の壺』で?どういうこと!?気になった方はどうぞ6月28日19:30~NHKBSプレミアム美の壺スペシャル「和楽器」をご覧ください!#清元 #草刈正雄 #尾上右近 https://t.co/s5nGE9lwdx pic.twitter.com/pGaTGIrmFC
— 尾上右近/清元栄寿太夫 (@UKON_KENx2) June 27, 2023
(尾上右近/清元栄寿太夫@UKON_KENx2さん、アップありがとうございます。)
美の壺:再放送・バックナンバー情報
NHK美の壺の【バックナンバー】をまとめてみました。
2019年以降の放送一覧のまとめはこちら。
2022 年はBSプレ・Eテレともにこちらが放送一覧です。
2021 年はBSプレ・Eテレともにこちらが放送一覧です。
2020年はBSプレ・Eテレともにこちらが放送一覧です。
2019年はこちらです。
ご参考になさってくださいね。