桜姫東文章(上の巻下の巻)感想シネマ歌舞伎決定!にざたま♪仁左衛門&玉三郎の色香に悶絶@2021年4月・6月歌舞伎座三部あらすじネタバレさくらひめあずまぶんしょう

こんにちは。らら子です。

文楽ファンのわたくし久しぶりに歌舞伎を見てきました。歌舞伎座2021年4月公演三部『桜姫東文章』です。

片岡仁左衛門と坂東玉三郎が36年ぶりにこの演目で共演です。おそらく一世一代、これを逃すともう見られないでしょうね。






目次

2022年4月『桜姫東文章』シネマ歌舞伎上演決定!東京歌舞伎座「四月大歌舞伎」チケットで割引決定!

『桜姫東文章』。片岡仁左衛門と坂東玉三郎が36年ぶりに共演と聞けば行かねばならぬ、と思った人が多かったので、いつもは空席が目立つ歌舞伎座もあっという間にチケット完売!

もう見られないのかと思っていたら、2022年4月にシネマ歌舞伎で上演が決定しました!

上の巻と下の巻の2部作で、シネマ歌舞伎だけの特別映像もあり。上の巻は4月8日初日、下の巻は4月29日初日です。

しかも、 4月の歌舞伎座のチケットを持っている人には、シネマ歌舞伎の割引があるという大盤振る舞いです!

歌舞伎座にて上演の「四月大歌舞伎」のご観劇券をご提示いただくと、 シネマ歌舞伎『桜姫東文章』上の巻、下の巻をそれぞれ200円引き(当日一般2,200円のところ→2,000円〈税込〉)でご覧いただけます。

出典:シネマ歌舞伎ニュース

シネマ歌舞伎『桜姫東文章 上の巻/下の巻』予告





2021年4月『桜姫東文章』ポスターはどこで買える?クリアフォルダ、チケットホルダー、ポストカードは?

どうです、このポスターの色っぽいこと。気迫すら感じさせます。

美しい色とりどりの打掛を布団代わりに横たわる二人。うっとりと身をゆだねる玉さまの髪の乱れ。仁左衛門さまの裸足が生生しい。ポスターはあっという間に完売。

このポスターは、今のお二人の姿ではなく、以前に共演した当時の写真。昭和57(1982)年2月南座公演用に撮影されたスチール写真です。

撮影は大倉舜二(おおくら しゅんじ)さん。2015年に惜しまれつつ亡くなった歌舞伎撮影の第一人者です。

ポスターは発売されるや完売。追加販売もありましたが、今はもう売り切れています。

2022年4月現在、歌舞伎座公式インターネットショップでは、クリアフォルダ、チケットホルダー、ポストカードが購入できます。





2021年4月『桜姫東文章』上の巻感想

2021年4月『桜姫東文章』にざたま:孝玉以来40年ぶりの再会にソワソワ

じつは子どもの頃は歌舞伎ファンだったわたくし『桜姫東文章』は1981年に孝玉(たかたま)コンビで上演されたのを覚えています。

当時は孝夫と名のっていたニザさまが清玄と釣鐘権助、女形として向かうところ敵なしの玉さまが白菊丸と桜姫を勤めました。

これが夜の部で、まだ子どもだったらら子は見せてもらえなかったのです。

(昼の部の積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)を見ました。これも孝玉で小野小町姫は先代の勘九郎、大伴黒主が吉右衛門。なんて贅沢な配役だったんでしょう。)

プログラムに載っていたスチール写真は衝撃的でした。お姫様の膝の上にはだしの足を乗せて挑発する権助。うれしはずかしな桜姫。

40年前の競演のあと何回か再演して今回は36年ぶりということですね。36年前の自分たちに負けないようにという意気込みが素晴らしいです。かーっ!美しいお二人。

というわけでずっと見たかった『桜姫東文章』、40年ぶりに夢がかないましたよ。





2021年4月『桜姫東文章』:仁左衛門・玉三郎以外の配役

桜姫(さくらひめ)/相承院稚児 白菊丸(しらぎくまる)  坂東玉三郎

清玄阿闍梨(せいげんあじゃり)/釣鐘権助(つりがねごんすけ) 片岡仁左衛門

残月(ざんげつ) 中村歌六

入間悪五郎(いるまあくごろう) 中村鴈治郎

粟津七郎(あわずしちろう) 中村錦之助

局長浦(つぼねながうら) 上村吉弥

奴軍助(やっこぐんすけ) 中村福之助

松若(まつわか) 片岡千之助

松井源吾(まついげんご) 片岡松之助

桜姫の弟・松若を演じるのは千之助さん。ちょうどいい年回りですね。




2021年4月『桜姫東文章』にざたま:白菊丸と清玄にワクワク:江の島稚児ヶ淵の場(えのしまちごがふち)

幕前芝居で人々が行方不明の僧清玄(せいげん)と稚児(ちご)の白菊丸を江の島に探しに来ています。

人々が去っていくと、岩場に清玄と白菊丸の衆道カップル。

うーん、正直なところ青年僧と稚児というにはちょっと無理があるかも。と、思いつつ二人の美しい所作にだんだん引き込まれていきます。

お念仏を唱えてポイっと海に飛び込んじゃう白菊丸。とっさに後を追おうとしながらも死にそこなってしまう清玄。

玉さま演じる白菊丸のけなげさと、ニザさまの苦悶の表情がステキ。




2021年4月『桜姫東文章』にざたま:桜姫と清玄にハラハラ:新清水の場(しんきよみず)

場面転換の間に狂言回しの口上があって今回は、『桜姫東文章』上の巻として前半部分の上演、後半は6月に上演しますと案内。

ところ変わって、舞台上には玉様の赤姫。吉田家の息女桜姫(さくらひめ)が出家を望んで寺にやってきています。周囲の慰留にも関わらず出家の志が固い桜姫は生まれつき左の手が開きません。

清玄の十念に合わせて一同手を合わせていると、突然桜姫の手が開き香箱が落ちます。それは白菊丸が持っていた二人の愛の証。清玄は桜姫が白菊丸の生まれ変わりだと悟り、出家を許します。

一方、桜姫の許婚の悪太郎は桜姫が不具と聞いていたから断ろうと思っていたが、手が開いたなら嫁にもらってついでに吉田家をわがものにしようと企みます。

悪太郎ははじめ桜姫に仕える局長浦に手紙を言づけようとしますが断られ、ちょうど居合わせた釣鐘権助(つりがねごんすけ)に桜姫宛の手紙を持たせます。



2021年4月『桜姫東文章』にざたま:釣鐘権助にゾクゾク:桜谷草庵の場(さくらだにそうあん)

釣鐘権助はニザ様の二役。さきほどの気高い高僧ぶりとうってかわった、悪党らしい顔つきと身のこなしがゾクゾクします。

今にも桜谷の草庵で剃髪しようする桜姫のところに、いきなり手紙を届ける権助。桜姫はとりつく島もなく追い返そうとしますが、権助の二の腕の彫り物を見て様子が変わります。

こういうのを色目遣いっていうのね。桜姫いきなり発情。

実は、桜姫は、いつぞやの晩強盗に入った釣鐘権助に夜這いをかけられ、すっかり恋に落ちていたのでした。しかもその一夜で権助の子まで産み、顔も知らない権助の腕に彫られた釣鐘と同じ図柄を自分の腕にも彫っていたのです。

操を奪った男に恋して彫り物まで入れる?お姫様が?いや、お姫様だからこそなのかしら。いやーありえないわー。ないわー。でもニザさんの権助ならあるかも。




2021年4月『桜姫東文章』にざたま:振袖姿のしどけなさにドキドキ

桜姫の出家は左手が開かないことではなく、操を奪った男を忘れられない罪の深さを償おうとしていたのですね。しかし桜姫は、桜谷の草庵でその男と再会してしまいました。

さっきまでの純粋そうな乙女の雰囲気は消え失せます。なまめかしいしぐさで色っぽい表情になる桜姫。数えで17歳の乙女とは思えませぬ。

振袖姿で嬌態というギャップ。しかもすでに経産婦ですってよ。

権助も思わぬ展開に乗じてすっかりその気。馴染みの色を出してきます。無遠慮に桜姫の胸元に手を差し入れるとニヤリ。

振袖で顔を隠しながら、桜姫もそんな権助に身をゆだねて愉悦の表情をうかべていきます。

固唾をのんで見守る客席。




2021年4月『桜姫東文章』にざたま:様式美なのに濡れ場にクラクラ

なんでしょう、その時の玉様の光り輝きっぷり。

くくくっと内面から湧き上がってくる情欲とでも申しましょうか。さきほどまで出家して念仏三昧を望んでいたお姫様ではなく、本能に忠実なオンナです。

そして思いがけない展開に戸惑いながらも、もっけの幸いとばかりに愉しむ権助。

権助が桜姫の帯に手をかけると待ってましたとばかりに体を浮かす桜姫。二人で帯を解いていきます。舞台を横切るその帯のまた美しいこと。

そしてふと立ち上がる権助を逃さじとばかりに、今度は桜姫が権助の帯をしっかりとつかんでいます。帯を取られて周りながら自ら帯を解いていく権助。

そこに愛はない。でもひたすら官能的。衣擦れがすべてを語る。

仁左衛門と玉三郎の様式美。絵のように美しいニザタマが、見ているこちらが身体の芯までほてってくるような生々しさ。たまらん。妙な気分になってきますよ。

それは言わないお約束だけど、お二人とも高齢男性なんですよね。
いや、参りました。




2021年4月『桜姫東文章』にざたま:もう一つの不義カップルにゲラゲラ

二人がしっぽりと御簾の向こうでよろしくやっている間に、現れるのが僧の残月(ざんげつ)と局の長浦(ながうら)。

この二人は不義の仲。長浦の方が残月に熱を上げ、残月は金目当てらしく、長浦の攻勢が激しくすっかり精魂疲れ果てて登場。

御簾の向こうで行われていることに気づいた二人は、姫と権助の情事をのぞき見して興奮。この辺りのちゃり場で客席に笑いが起こります。

清玄を追い落とし自分が寺の住職になりたい残月は、桜姫の不義の場をとらえ相手は誰だと詰問します。傍らにある例の香箱には「清玄」の文字が。

その場に現れた清玄は相手の名を出さない桜姫をかばって密通の疑いに甘んじます。

残月は、有頂天になって清玄の衣をはぎ取るという非道をしますが、局長浦との不義がバレてこちらも失脚することに。




2021年4月『桜姫東文章』にざたま:桜姫をめぐるグルグル開始

清玄と桜姫はさんざん打ち据えられた上にさらしものになります。しかも里子に出した赤ん坊まで膝の上に戻され、役人にもあきれられる始末。

おそらく清玄は白菊丸の生まれ変わりである桜姫と結ばれようという下心で、疑いを受け入れたんでしょうね。

さっそくプロポーズしますが、とてもそんなことを考えられない桜姫。いっぽう悪太郎は赤子と桜姫をさらいに現れ、なぜか赤子は置いてけぼりになり清玄に養われることになります。

白菊丸の面影のやどる桜姫を追う清玄と、権助を追い求める桜姫。それぞれの立場がグルグルと変化していくのです。

が、上の巻はここまで。続きは6月大歌舞伎にて。

初めて生の舞台で見て、子どもは見せてもらえなかった理由がよくわかりました。




2021年6月『桜姫東文章』下の巻感想

2021年6月『桜姫東文章』にざたま:下の巻 仁左衛門・玉三郎以外の配役

粟津七郎(あわづしちろう)中村 錦之助

葛飾のお十(かつしかのおじゅう    片岡 孝太郎

奴軍助(やっこぐんすけ    中村 福之助

吉田松若(よしだ まつわか)    片岡 千之助

舞台番(ぶたいばん=説明係    片岡 千次郎

判人勘六(   )    嵐 橘三郎

長浦(ながうら)    中村 吉弥

残月(ざんげつ)    中村 歌六




2021年6月『桜姫東文章』にざたま:下の巻 仁左衛門・玉三郎以外の配役

下の巻の配役は以下の通り。千之助さんは私が観劇した日は新型コロナで休演していました。特に代役もなく、上手く人繰りをして舞台進行に妨げはありませんでした。

粟津七郎(あわづしちろう)中村 錦之助

葛飾のお十(かつしかのおじゅう    片岡 孝太郎

奴軍助(やっこぐんすけ    中村 福之助

吉田松若(よしだ まつわか)    片岡 千之助

舞台番(ぶたいばん=説明係    片岡 千次郎

判人勘六(   )    嵐 橘三郎

長浦(ながうら)    中村 吉弥

残月(ざんげつ)    中村 歌六




2021年6月『桜姫東文章』にざたま:岩淵庵室の間

すっかり落ちぶれた清玄は、追放された長浦・残月の住む庵室に転がり込んでいます。

桜姫と権助の間に生まれた子は、清玄が育てていましたが、ちょうどお堂にやって来た武家の妻(葛飾のお十)がわが子を亡くしたばかりというので貰ってもらうことに。

いつまでも桜姫に未練を残す清玄。落ちぶれてうっとおしいことこの上ないです。いつまでも肌身離さず大事にしているのが香箱の蓋。

これを金子と勘違いした夫婦にむりやり青蜥蜴(あおとかげ)の毒を飲まされて清玄は殺されます。顔には醜い痣が。あのすっきり美しいにざさまが、みじめなこと。

死んだ清玄を埋めるために長浦は墓堀の釣鐘権助を呼びに行った留守に、人買いが桜姫を庵室につれてきて一時的に預けていきます。

残月が桜姫に色目をつかったりいろいろしながらも、雷の落ちたショックで清玄は生き返り、桜姫に再会!(といいつつここは二役でにざさまは釣鐘権助に早変わり)

花道に現れた釣鐘権助の美しいこと。はっと目が覚めるよう。悪い人ってステキ。釣鐘権助は裏庭で機嫌よく墓穴を掘ります。意外と働き者ですね。

清玄は桜姫に桜姫がかつての恋人の稚児・白菊丸の生まれ変わりだと説明し、思いを遂げようとします。もみ合ううちに清玄は出刃包丁で喉(のど)を刺して死にます。

釣鐘権助は桜姫と再会。いきなりのイチャイチャシーンですよ。わー。こんな男に騙されてみたい。過去のことを全部許してしまいそうですよ。

残月たちをおどしてみぐるみはいで、桜姫を連れて去っていきます。その権助の顔には清玄の顔の痣がくっきりと記されています。

実は二人は生き別れの兄弟。桜姫と権助のあとを清玄の人だまがついていきます。




2021年6月『桜姫東文章』にざたま:下の巻 浅草山宿(あさくさやまのしゅく)の場

釣鐘権助はビジネスセンスにも優れているようで、いつの間にか浅草山の宿の家主になっています。

桜姫は権助にさっさと小塚原(こづかっぱら)の女郎に売り飛ばされています。女郎屋に出向く時の桜姫のセリフ「毒を食らわば(皿までも)……。」というのが、因果と覚悟を感じさせます。

釣鐘権助の真似をして入れた刺青にちなんで、源氏名は風鈴お姫(ふうりんおひめ)。

入れ墨は入ってるわ、女郎言葉と大名のお姫様の言葉が入り混じるわで、面白がられて人気もでます。が、なにしろ夜な夜な清玄の亡霊が枕元にたつので、気味悪がられて返されてきました。

帰ってくるなり甘い雰囲気で、桜姫とイチャイチャ。かーっ!これが女を手玉にとるってことなんですね、ジゴロってこういうことだわ。

赤ん坊は戻ってきますが、桜姫に母性はなく雑にあやしています。

権助が寄合に出かけた留守に、清玄の幽霊が現れ権助の悪事を桜姫に明かします。つまり桜姫の父を殺して重宝(ちょうほう)を盗みだして没落させたのだと。

桜姫は戻って来た権助に酒を飲ませて殺し、権助の間に生まれたわが子もためらいもなく殺し、御家の重宝「都鳥の一巻(みやこどりのいっかん)」を取り戻しました。

この辺りの決断の早さ強さ、桜姫はやはり大名のお姫さまだと思わされます。




2021年6月『桜姫東文章』にざたま:下の巻 三社祭礼(さんじゃさいれい)の場

ぱっと幕が開くと、明るく華やかな場面。浅草三社祭の賑わいです。

桜姫は無事に吉田の御家の再興を果たしました。すべてが丸く収まりハッピーエンド。姫は元の姫になり、弟も(その時はいなかったけど)めでたしめでたし。

桜姫は、世間知らずゆえに権助に騙されてしまったわけですが、そんな権助に惚れぬいたのも、権助を殺したのも、すべて自分の決断。

女郎屋でも人気が出るよう覚悟を決めて働いたのでしょう。

流されているようで実は強い女性です。

そして、清玄の未練がましさに、権助のしゅっとした悪人ぶりの対比。

清玄だって高僧でいる間はそりゃまあすっきりと美しいお坊様なわけですが、境遇が変わればあそこまで落ちぶれてしまうわけですね。でも桜姫(=白菊丸)への未練は捨てない。

権助もまともな仕事はしないけど、裏稼業はせっせと働くし頭も回る。

長浦と残月だってどこか憎めない。長浦はあんなばっちいおばさんになっても、乙女心が健在。桜姫に下された晴れ着をいつまでも手放さないし、残月にやきもちも焼く。

なんだか人間って愚かしいけどいいものですよね。なんてことを思いました。




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