こんにちは!らら子です。
文楽(人形浄瑠璃)のお人形ってかわいいですよね。
つるつるしていて、白くかがやくタマゴ肌。
それが、一瞬でとつぜんコワイ顔に変化するカラクリ人形があるんです。
それがガブ。文楽の首(かしら)です。
ガブっと口が裂けるからでしょうかねぇ。今回はそのガブやその他の文楽の変りだねの首を動画入りでご紹介しますね。
目次
美少女に口裂け女に!ガブっと人形の顔が変わる
ガブはビフォーアフターの差が激しいほど面白いので、その前はそれはそれは美少女。
それまでの、やわらかでかわいらしいお顔が鬼のような顔になるのは、ショーゲキです。
この動画を見たら、小さいお子さんなら泣いちゃうかも( ;∀;) ※再生すると音が出ます。
ガブといえば『日高川入相花王』「渡し場の段」ツノも生えちゃう恐怖!
ガブが出てくるのは、『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)』の「渡し場の段」が有名です。
このお話は、歌舞伎や能楽でも人気の『娘道成寺(むすめどうじょうじ』と同じ、安珍清姫伝説(あんちんきよひめ)伝説がモチーフ。お子さんや初心者向けの文楽公演でもよく上演されます。
イケメンのお坊さん安珍を愛した清姫と、清姫の重い愛にビビって旅立つ安珍。
清姫は安珍を追いかけて日高川の渡し場までやって来ます。
清姫が追いかけてこられないように言いつけられた船頭。
頼まれた船頭は船をだしてくれない。
清姫は激怒のあまりヘビの体に変身し、鬼の形相でわっしわっしとクロールで日高川を渡っていく……。
その時のお顔がこれです。ツノまで生えちゃう……(;’∀’)
【大阪・国立文楽劇場】文楽夏休み公演第1部『日高川入相花王』には、清姫が悋気嫉妬の余り蛇体に変じる様子を表現するかしら・ガブが登場します。この特殊かしらは、庵野秀明監督をはじめ現代の映像作家のキャラクター造形にも影響を与えています。 pic.twitter.com/HbUhHGgDOS
— 国立文楽劇場(大阪・日本橋) (@nbt_osaka) July 6, 2019
ガブはどんな時につかわれる?『日高川入相花王』以外の演目は?
ガブが使われるのは、おしとやかでたおやかな美女が鬼になったり、急に強くなったりするときにつかわれます。
日高川以外だと『戻り橋(もどりばし)』の鬼女(きじょ)役や
『嫗山姥(こもちやまんば)』の八重桐(やえぎり)役など。
こちらはガブのロングバージョンの動画。
じっくりご覧ください。こえええぇ💦
ガブ以外にも梨割(なしわり)などユーモラスな首(かしら)
ガブ以外にも特殊な首(かしら)の人形があります。
立ち回り(ちゃんばら)のシーンで、切られると顔の前半分が前に割れて落ちて、梨をスパッと縦に切ったような形になる梨割(なしわり)もあります。
考えてみると、すごく残酷ですが、切り口は赤く塗ってあって、目玉もちゃんと書いてあるので、かなりおかしい顔。
よく見ると断面のそれぞれの表情が違うんですよね。思わず笑っちゃいます(^^;
これは、いぜん体験教室で梨割を実演していただいたときの画像(らら子撮影)
お手手は桐竹勘次郎さんです。
ガブ以外の特殊な首(かしら):景清のガラスの目玉
たとえば『娘景清八島日記(むすめかげきよやしまにっき』の主人公の景清。
「嬢景清八嶋日記 日向嶋の段」で遣われる景清の首(かしら)は、本作品のみで使用されます。
潮風にさらされ、荒れた肌を表現するために縮緬が貼られています。
外見だけでなく様々な仕掛けがあるこの首を、どうぞ国立劇場でお確かめください。https://t.co/J6REHypGoI pic.twitter.com/CfZEkwS7fo— 国立文楽劇場(大阪・日本橋) (@nbt_osaka) September 5, 2019
「日向島(ひゅうがじま)の段」では、いつもは両目を閉じていますが、
目を開けると目玉部分に赤いガラス玉が仕込んであります。
見えぬ眼玉の飛びでるばかり、押し拭ひ押し擦り、大声上げて泣きくどく、理りせめて哀れなり 「日向島(ひゅうがじま)の段」
これは、平家方の武将だった景清が源氏の世をこの目で見たくないからという理由で、自分で両眼をくりぬいたという設定になっています。
しかし、はるばる訪ねてきた娘の姿を一目見たさに目をこじ開けるとその目は真っ赤という設定。
『夏祭浪花鑑』三河屋義平次や『菅原伝授手習鑑』丞相のかしら
こちらはおじさんがおじさんにかわるだけなので、あまりインパクトがありませんが、舅のガブという首(かしら)。
根っからの悪人の義平こちらは、次は、あまりのことに逆切れした婿の団七に、刀で切られて、池に叩き込まれます。
義平次は、しぶとくまた池から這い上がってきますが、この時は人相が変わっています。
【大阪・国立文楽劇場】
文楽夏休み特別公演第3部『夏祭浪花鑑』に登場する三河屋義平次は、婿の団七に一刀を浴びた後、池に叩き込まれます。再び池から現れる義平次は、舅のガブという首(かしら)で汚れた衣裳の胴と持ち替え、立ち廻りを演じます。
公演情報は⇒https://t.co/LYzYYSMuK6 pic.twitter.com/HQdWpfD9uW— 国立文楽劇場(大阪・日本橋) (@nbt_osaka) July 27, 2021
お次は『菅原伝授手習鑑』「天拝山の段」の丞相のかしら。
お面を外すと下から怒りの形相のかしらが現れるという二段構えになっています。お面を外した表情そのものはそれほど怖くないのですが、髪の毛が逆立ったり火を噴いたり大暴れします。
【特集】国立劇場での文楽全段通し狂言「菅原伝授手習鑑」クライマックスを裏から支える技術室、表で魅せる人形遣い・吉田玉男に迫るhttps://t.co/k4GWtycgZF#吉田玉男 pic.twitter.com/PU6gJPbGUp
— ステージナタリー (@stage_natalie) August 17, 2023
きつねにも変身!勘十郎さんが扱うガブ人形:外国人にもウケる
文楽の人形の顔が変わるというのは、
外国人の人にはかなりのオドロキあんどエキサイティングなようです。
ですよねー。
こちらは『にほんごであそぼ 』人形浄瑠璃文楽コーナーでもおなじみの
桐竹勘十郎さんの実演。
お姫様が袖で顔をなでると、あら不思議。狐の顔に早がわりです!
何度も見ちゃいますねー(笑)
玉三郎の人形ぶりで『日高川入相花王』をやるとこんな感じ。
日高川は、歌舞伎でも人気演目です。
歌舞伎で「人形ぶり」といって人間が文楽人形の動きを真似します。
これは、清姫が玉さま、こと坂東玉三郎さんで、人形遣いが尾上菊之助さん。
どちらも美しいですね。
かくかくとした動きが人形っぽいです。
玉さまのお顔は変わらないので、ヘビに変身したあとの鬼の形相はお面をかぶっていますね。
それにしても、玉さまっていつみても素敵です♡