こんにちは~。らら子です。
ところで、みなさん、文楽(ぶんらく)って知ってますか?
文楽は、日本の伝統的な古典芸能の人形劇です。
文楽、人間国宝4人一堂に 9カ月ぶり国立劇場で本公演:日本経済新聞 https://t.co/jzxMvD08rD
— 国立劇場文楽公演(東京・大阪) (@bunraku09) October 30, 2020
ワタクシ、ひょんなことから文楽にハマったのですが、最初はよくわかりませんでした。
最近はやっといろいろわかってきたんですが、このまえ、飲み会で「文楽に行くんだー」とか言ったら、思わぬ反応がかえってきて新鮮でした。
「文楽ってカブキみたいなやつ?」⇚そうそうアタリ!みたいなやつ。
「文楽って黒いかっこうの人が人形持ってるやつ?」⇚そうそうアタリ!黒衣(くろこ)な。
「文楽ってセリフは黒いかっこうのひとがしゃべるの??」⇚セリフは別の声優がいるよ。
「文楽ってブンラクなの?ブンガクじゃないの?」⇚そういや音楽はオンガクだね。
あと、わかんないのは、人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)って言葉ですよね。
人形浄瑠璃文楽とか言うときもあるし……。
ちなみに「浄瑠璃」という言葉についてはこちらでご説明しています。
じゃあ、人形浄瑠璃は?というわけで、ちょっと説明してみます。
目次
文楽ってなに?人形浄瑠璃ってなに?舞台と床のなぞ
まず、文楽なのか人形浄瑠璃なのかというと、実は人形浄瑠璃文楽という長い名前です。
ざっくりとご説明しますと、あやつり人形劇です。
人形劇といってもメロドラマや一部に下ネタもある(笑)大人向けの人形劇です。
むかしテレビがなかった時代の、ワイドショーや事件の再現ドラマみたいなモノですね。
劇を上演するには、太夫と三味線と人形遣いの3パートがあります。
ふつうの公演だと、正面の舞台に人形と人形遣いがいます。太夫と三味線がいるのは、向かって右側の脇にある客席に対して斜めに配置されているサブステージです。このサブステージを「床(ゆか」といいます。
【大阪・国立文楽劇場】本日は、令和2年初春文楽公演第1部『七福神宝の入舩』(しちふくじんたからのいりふね)『傾城反魂香』(けいせいはんごんこう)『曲輪文章』(くるわぶんしょう)の舞台稽古を行いました。
チケットのお求めはこちらから→→→https://t.co/90eOT4jiHC pic.twitter.com/Ke1qsRMg8T— 国立劇場文楽公演(東京・大阪) (@bunraku09) December 27, 2019
人形浄瑠璃文楽:三位(三業)一体のワザ
三味線とともに太夫がストーリーである詞章(ししょう)を語るものを「浄瑠璃(じょうるり)」といいます。
· 太夫は声優やストーリーテラーの役目 ⇦⇦ 人形劇のセリフとナレーション
· 三味線が音楽その他効果音担当で太夫と劇を盛り上げる ⇦⇦ この部分が浄瑠璃
· 人形遣い(にんぎょうづかい)が3人がかりであやつる ⇦⇦ これで人形浄瑠璃
つまり式にすると
人形 + 浄瑠璃(太夫+三味線) = 人形浄瑠璃
シナリオそのものを浄瑠璃ということもあるので、人形抜きで浄瑠璃部分だけを上演するときは、あえて素浄瑠璃といいます。
三味線が太夫の伴奏のようにいわれることもありますが、三味線と太夫は対等で、時に太夫がリードしたり、三味線がリードしたり、あえてピッタリ合わせないということもあるそうです。
「義太夫節」の義太夫は人の名前(芸名)三味線は低音の太棹三味線(ふとざおじゃみせん)
浄瑠璃節の人気の太夫で竹本義太夫というひとがいて、このひとの名前から「義太夫節」の名前も生まれました。
竹本義太夫さんは、NHKの木曜時代劇『ちかえもん』で、近松門左衛門の盟友として出てきましたね。
https://www.facebook.com/kanjurou/posts/1662189584052983/
義太夫さんは今でいうカリスマ太夫、スーパースターです。
義太夫節の誕生により、それまでの浄瑠璃は「古浄瑠璃」といわれ、義太夫節が浄瑠璃のスタンダードになっていきました。浄瑠璃が人気になると歌舞伎でも上演されるようになったので、文楽は歌舞伎のおかあさんみたいな存在です。
文楽で使う三味線は、太棹三味線といって、三味線の中ではいちばん太いベース楽器です。ベーンベーンと低い音がお腹に響いて気持ちのいいもんです^^
人形は三人で「遣う(つかう」。人形浄瑠璃と文楽との関係は?
人形をあやつることを「遣う(つかう)」といいます。
それからあやつり人形劇のほうも、頭と右手、左手、足と3パートのに分かれて3人の人形遣いであやつる三人遣いという特殊な方式になっています。『ちかえもん』の頃は、もっと小さい一人遣いだったそうです。
ところで、なぜ人形浄瑠璃文楽なんて長い名前なんでしょうか?
江戸時代のはじめ17世紀ごろ、人形浄瑠璃は日本のあちこちで人気のお芝居でした。特に、当時の商業の中心地の大阪では、人形浄瑠璃の芝居小屋がたくさん並んでいました。
ナントカ座、ナントカ座と、いろいろある中で、植村文楽軒(うえむらぶんらくけん)が始めた「文楽座」が超人気になり、人形浄瑠璃といえば文楽だよね、と。
なので、「文楽」はいろいろある人形浄瑠璃の1つとして人形浄瑠璃文楽となったのですね。
人形浄瑠璃は文楽以外にもいろいろある
植村文楽軒さんは、瀬戸内海に浮かぶ淡路島の出身で、淡路島には女性も演じる「淡路人形浄瑠璃」があります。
他にも北海道や大阪の河内などに地元の人が上演する人形浄瑠璃が残っています。文楽は、地方の人形浄瑠璃出身の演者さんも多いんですねー。
まだデビュー前ですが小学生で入門した豆太夫の竹本織子太夫さんは淡路島出身。
超若手の太夫竹本碩太夫さんは、北海道の人形浄瑠璃劇団出身です。
三味線の鶴澤清志郎さんは中学生まで長野県の地元の劇団に所属していたそうです。
文楽の演者さんは、代々文楽のおうちに生まれた人もいれば、地方の人形浄瑠璃経験者もいれば、大卒や転職組もいます。
それぞれの特色を生かして文楽をもり立てていってほしいですよね。
人形浄瑠璃文楽はユネスコ世界無形文化遺産にも登録
世界中にあやつり人形劇や人形芝居はたくさんありますが、文楽は特殊な上演方法や、人形の細やかな動きや表情、美しさなど、いろんな特徴があるんです。
さっきご説明したように、太夫・三味線・人形の3パートで上演される形式も、人形を3人で扱う三人遣いも世界でも珍しい方法です。
なので、かっこよく言うと、文楽は豊かな表現力と高度な芸術性から、「世界一の人形劇」と呼ばれます。人形浄瑠璃文楽として、ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されます。
人形浄瑠璃文楽は、ユネスコにより2003年(平成15年)に「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」として宣言され、2008年(平成20年)に「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されました。
(出典:文楽協会公式サイト)
他に、同じく古典芸能の歌舞伎や能楽もユネスコに登録されています。
あ、「泣くゴはいねぇが~」の秋田のナマハゲもおなじ文化遺産だそうです。
文楽、人形浄瑠璃文楽、奥が深いですねー。観に行きたくなっちゃいますよね。
よかったら下のページも見てみてくださいね。
文楽(人形浄瑠璃)を観たい!いつ、どこで、どうやって?チケットの入手方法は?
らら子でした~~。
参考にさせていただいたサイト
国立文楽劇場 夏休み文楽特別公演
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2019/3008.html?lan=