こんにちは。らら子です。
宝塚花組を見てきました。なんと花組新トップコンビになってから初生観劇です!お芝居の方は宝塚の名作『うたかたの恋』。ショーは香水をテーマにしたENCHANTEMENT(アンシャントマン)。
2022年中は手持ちのチケットとコロナ休演とが重なり、一度も見られなかったのです。
やっとやっと見られた花組。皆さんお久しぶりです~。
感想:うたかたの恋/あらすじ:新演出は泣ける!
『うたかたの恋』はオーストリア皇太子のルドルフと富豪の下級貴族令嬢マリー・ベッツェラのマイヤーリンクでの心中事件です。人気のわりに今までワタクシどうも好きになれませんでした。
いわゆる軍服モノですし、みんな大好き輪っかのドレスですし、華やかな舞踏会もバレエ的な動きも、ロマンチックですてきなんですが、どう考えてもひどい話ですよね。
妃とも家族とも折り合いの悪い(ついでに女癖も悪い)30過ぎの孤独な皇太子が人生に絶望して死を選ぶ。
孤独に死ぬのは嫌だから、皇太子に恋焦がれる世間知らずの17歳の少女マリーを道連れにするってことですよ。
しかも、二人の恋を引き裂こうとする父・皇帝フランツは、権力をかさにきてマリーを修道院に強制的に送り込もうとする、母・エリザベートはその暴挙に反対もしない。
あの子は私に似ているとかいいつつ、まったく母の責任を果たしていない。そりゃあ、ルドルフだって死にたくなるでしょうよ。でもマリーも、マリーの家族も立場がない。
心中したマリーの遺骸が、家族が迎えに行くまでマイヤーリンクの館にそのまま放置されていたって皇帝には逆らえません。
大筋は変わらないので後味も悪いのですが、今回は小柳奈穂子先生による新演出!
演出が違うと、こんなにも感情移入できるのかと驚きました。泣けます。
感想:うたかたの恋:柚香光&星風まどか納得の並び
今までの『うたかたの恋』といえば大仰なセリフ回し、説明が延々と続く幕前芝居と重いし、くどいしって感じだったのです。でも新演出はどこか違う。
幕開けの階段のシーンから、納得の二人の並びです。本作はバレエ的な動きが多いので、バレエが得意な柚香光さん(以下:れいちゃん)にもピッタリですね。
ひとつひとつの動きがぴたっと決まり、本当に優雅できれいです。
影のある偏屈で孤独な三十男ルドルフは完璧に美しく、マリーの星風まどかさん(以下:まどかちん)は果てしなく愛らしい。
恋に恋するようなルドルフへのあこがれも、思いがけず劇場で出会ってしまって思わずまじまじとルドルフを見つめてしまう子供っぽさも、退出を促す母親に従いながら、何度も何度もふり返ってしまうしぐさも、全部がかわいい。
ルドルフからもらった手紙を読みながらくるくる回る、まどかちんの乙女っぷりにノックアウトされました。
そして、マリー17歳は浮かれているだけでなく、この人を支えて行こうと健気にも決心するのですね。
そしてマイヤーリンクでのかくれんぼのシーンがまたかわいくて切ない。死を覚悟しているのにつとめて無邪気におっとりと振る舞うマリーに泣けます。
今までどうも苦手だったかくれんぼの場面なのに、アドリブもほどよく、トップコンビの関係性が見えていい場面です。
まどかちんはベテランになるにつれて、かれんな外見とは裏腹にオトナっぽい難しい役が多くなってきていたので、このまま貫禄がついちゃうのかと思っていましたが、いえいえどうしてどうして。
れいまどの並びも美しく、新トップコンビはお互い完全にリフレッシュしましたね。あと3作ぐらいはこのコンビを見ていたいです。
感想:うたかたの恋:周囲も舞台装置も美しい
新演出になってもう一つの小柳先生のこだわりは舞台装置かなと思いました。背景はブロンズの窓枠っぽい重厚な立体物や双頭の鷲のモチーフ。
双頭の鷲のお顔はちょっとりりしさに欠けますけど(;^_^A
最近の舞台背景は何かと映像に頼る傾向にあったので、立体的な舞台背景がうれしい。
舞踏会のシーンも、酒場のシーンも、油絵のように美しいのですよ。そしてその美しい舞台装置の中で登場人物もすみずみまで美しい。
ジャン・サルバドル役の水美 舞斗さんも、フェルディナンド大公役の永久輝 せあさんもダンスが得意なので、1~3番手男役のダンスも溜息ものです。
ラストシーンで手紙を読むジャン・サルバドルの涙も、ルドルフを逃がそうとするフェルディナンド大公の涙も尊い。
エリザベートそのものは好きになれないけど、エリザベート役の華雅りりかさんは美しくも威厳タップリ。これで退団なんですよね、さびしいなぁ。
皇太子妃ステファニー役の春妃うららさんは、高貴な身分ゆえの押し殺した演技がとてもよかったです。
折り合いが悪いとは言え、ルドルフに受け入れてもらいたいし、思わずマリーに対して嫉妬心をむき出しにする切ない女心。
ほとんどセリフがないので難しい役だと思います。
御者のブラットフィッシュ役の聖乃あすかさん。思わず二度見する美しさ。明るい軽妙な役で癒しの存在。
そしてワタクシらら子の好きな副組長航琉ひびきさんは、老侍従のロシェック役。じいさんぶりがよかった!
雪の中で結ばれるルドルフとマリーの美しいデュエットダンス、堪能しました。
感想:アンシャントマン〜華麗なる香水〜
演目が発表されたとき、サブタイトルの華麗なる香水から柚香 光と水美 舞斗に何が起きるのかドキドキでしたが、水美 舞斗さんが専科異動のはなむけだったんですね。
タイトル通り華麗で宝塚らしいショーでした。とても花組っぽい。
冒頭に白い妖精みたいな人たちが出てくるので、藤井大介先生の演出かと思ってしまいましたが、野口幸作先生でしたね。
香水のテーマにそって次々といろんな種類の香水が歌い継がれるところも、ちょっと大介ショーっぽい?
香水はビンの形も色もキラキラきれいだし、歌詞も芸名とリンクしていて愛を感じます。
爽やかなシトラスや、神秘的なオリエンタルな香りとか、場面によって雰囲気が変わっていって、なるほど香水そうきたか、さすが野口先生でした。
適度に緩急があってどの場面もきれいで、花組らしい男役のオラオラもあって、娘役ちゃんたちもキラキラふわふわ可愛いこと。
しばらく生で花組を見ていなかったせいか、下級生の把握がちょっと難しくて焦りました。
一之瀬 航季くんはもうばっちり主要メンバーなんですね。帆純 まひろ、聖乃 あすか、一之瀬 航季、希波らいと、ノーブルなお顔立ちの方々が揃っているので、一瞬取り違えます笑
和海しょうさんが芝居も歌も安定してがっちり組を支えていてうれしかったです。華雅 りりかさん退団で、94期も残り少なくなりますね。
水美舞斗さんにリフトしてもらってくるくる回り、れいちゃんにもくるくるリフトしてもらって、楽しそうなまどかちんを見ているだけでほっこり。
羽根扇にステッキに、ちょっと懐かしい感じのオーソドックスなショーで、とても楽しみました。